弐拾玖話─優依と三日月─ ページ31
優里那side
久しぶりだった。
誰かに頭を撫でてもらった事も、優しい言葉をかけてもらった事も・・・
今迄出てこなかったのに・・・涙が溢れて止まらなかった。
三日月「思い切り泣くといい・・・」
そっと抱き締められ、背中をとん、とん、とあやすように叩かれる。
そのリズムがお母さんと何処か似ていて、私は声を出して、でも静かに泣いた。
優「ぅ・・・ぁぁ・・・あぁぁぁ・・・!・・・ぅぅ・・・」
こんなに泣いたのも、いつぶりだろう・・・
*。゚.・*。゚・.。゚*。゚.・*。゚・.。*
三日月side
主が泣いている時にほんの少し記憶を見させてもらったが・・・俺達とあまり変わらなかった。
三日月(1人で、ずっと耐えてきたのか・・・)
この小さな背中に、背負うには大きすぎる物を背負って・・・
暫くすると、泣き声が聴こえなくなってきた。
見てみると、泣き疲れたのか、眠っていた。
三日月「寝てしまったか・・・」
過去を話している時よりは顔が穏やかになっている気がする。
三日月「よきかな・・・」
なかなか眠れず月見でも・・・と出てみたが、良かったかもな。
前迄はいつも空を雲が覆い、月なんて出ていなかったからな。
俺は主を横抱きにして、起こさないように寝床があるであろう離れへ向かった。
─離れ─
離れの襖を開けると、中にいた薬研がぴくりと動き此方を見た。
薬研「み、三日月の旦那!?それに大将!何したんだ?」
三日月「ちょいと其処で会ってな、話をしただけよ。寝ているだけだから安心せい。」
敷いてあった布団に寝かせ、毛布を掛ける。
薬研「・・・三日月の旦那も、大将を信じる事にしたって事・・・か?」
三日月「そういう事だ・・・辛かったろうにな・・・」
薬研「話を聞いたのか。」
三日月「あぁ。記憶も少しな。俺達とそう変わらんかったよ・・・」
薬研「・・・大将の体にはその傷が無数に残っちまってるんだ・・・誰にも悟られないように隠してる・・・」
三日月「・・・優しい子だな。」
そろそろ戻ろうかと立ち上がりかけた時、
着物の裾を少し引かれた。
優「嫌だ・・・1人に・・・しないで・・・」(ポツリ
夢を見ているのだろうが、こう言われては行けないな。
三日月「安心せい。此処にいるさ。」
そっと髪を撫でれば安心したような顔になる。
今宵は俺も、此処で寝るか・・・
薬研と共に主の隣に寝転び、瞼を閉じる。
主に会う迄来なかった眠気がすぐに訪れ、俺は夢へと落ちていった。
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華狐(プロフ) - はい。読んでくださる読者様は神様なので。 (2017年10月25日 20時) (レス) id: 0a579a2e48 (このIDを非表示/違反報告)
殺戮の天使(プロフ) - 華狐さん» 私やてw鈴木順早!それとも分かってて敬語使ってる??w (2017年10月25日 20時) (レス) id: 634692efbb (このIDを非表示/違反報告)
華狐(プロフ) - 殺戮の天使様、有り難う御座います!頑張ります! (2017年10月25日 20時) (レス) id: 0a579a2e48 (このIDを非表示/違反報告)
殺戮の天使(プロフ) - キタ━(゚∀゚)━!頑張ってね!byありさ (2017年10月25日 10時) (レス) id: 634692efbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華狐 | 作成日時:2017年10月23日 23時