AnotherStory とある魔王の懐刀のはなし ページ48
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｢よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ｣
薬研藤四郎は二番目に来た刀である。初期刀の加州清光と共に本丸に降り立った。当初は、何もなかった本丸で初めにした仕事は畑仕事だった。
ご飯を作り、馬の世話をし、作戦を練り、風呂に入り、眠り、出陣をし、傷を癒し、仲間を増やし、家族を増やし、気が付くと本丸はなかなか充実していた。
そんな時に現れたのが彼女だった。
｢はぁいっ！呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!!小生の名は村正。妖刀で広く知らているね。まぁ、村正っつても沢山あるから好きに詠んで下さいな｣
美しい刀だと思った。夜を切り取ったような髪は光の反射で輝き、金色の瞳は吸い込むように惹き寄せる。
本当に美しく狂気めいていると感じた。
さて、薬研藤四郎には沢山の兄弟がいた。彼等は優秀な刀であり、戦場では頼れる仲間であった。日常生活では手の掛かる可愛い兄弟であり、構ってやらればならない可愛い兄弟であった。
粟田口には唯一の太刀がいる。名を一期一振。多くの藤四郎の頂点に立つ兄である。
この本丸には一期一振はいなかった。兄弟は皆、兄を待っていた。勿論、薬研藤四郎もだ。だって弟達を支えるのには、薬研の身体にとって少々重いのだ。
この身体は細くて、軽くて、小さくて、兄を求める声にどうしても応えきれない。
その重荷がどうしても耐えられない時、あの美しい夜を求める。
｢霧羽姐……｣
夜、月も輝く真夜中に彼女は誰が来るのを待っているかのようにそこにいる。そして名を呼べば笑って迎えるのだ。
｢おいで｣
彼女はわかっていたかのように受け入れる。何も言わず抱き締める。
薬研はその温もりがいっとう好きだった。いつもは誰よりも頼りになる彼だったが、この温もりと優しさには敵わなかった。大好きだった。
｢霧羽姐はこういうの手馴れてるな｣
｢そうですか？｣
｢ああ……｣
｢小生にも兄弟がたくさんいましたからね｣
だからこんなに温かいのか。背中のポンポンもいいな、眠くなる。
｢なぁ、霧羽ねぇ……｣
｢んー？｣
｢…むかし俺っちは、きりはねぇに、あったことある、か？｣
｢……｣
｢よく、わからねぇんだ……、おれは、昔、もえたから｣
ああ、それにしても眠い。
｢もう寝なさい薬研｣
｢ん……｣
この声に懐かしさを覚えるのは何故だろうか。
『もうおやすみなさい薬研藤四郎』
意識が沈む中聴こえた声は誰だったろうか。
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加州☆鶴丸☆三日月☆一期ファン - 消さないでください！！！！！ (2017年2月25日 21時) (
レス) id: 4110b38b3b (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 - 続きが読みたいです...消さないで。応援してます。 (2017年2月8日 17時) (レス) id: e4d207fc48 (このIDを非表示/違反報告)
ビタミン365日(プロフ) - 水鳥さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいです！この作品も話がいっぱいになったので新章を公開したいと考えています。新作のご意見も感謝です！！参考にさせていただきます。 (2017年2月1日 21時) (レス) id: edca99e45f (このIDを非表示/違反報告)
水鳥(プロフ) - 私としてはお話を続けてくださると嬉しいです。新作の方は刀剣女士のものが見たいです。新作もこのお話も楽しみにしています (2017年1月31日 20時) (レス) id: 55fe5a8c04 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 面白かったです！頑張ってください♪(´ε｀ )！ (2016年12月11日 9時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビタミン365日 x他1人 | 作成日時：2015年6月16日 20時
