◎３９話 言葉で尽くすにはたりない ページ43
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｢村正っ！！｣
｢逃げるな宗三！｣
宗三は長谷部から逃げるように彼女に抱きついた。さも当然のように宗三を受け止めるがその瞬間、この場の空気が下がった。
世話好きの彼は持っていた箸を折り、かっこよくて強いと豪語する流行りの彼は飲んでいた酒を吹き出した。本丸の母と言われた彼も笑顔なものの纏っているものはどす黒い。驚きじじいも右に同じ。写しコンプレックスの彼なんて驚きで布を脱いだ。なぜだ。
｢だからー、小生は霧羽だって言ってるじゃないですか｣
冷めた空気とは真反対の間延びした声が響く。だが宗三は抱きついたまま顔を押し付けるだけで顔を上げようとしない。
｢この馬鹿が僕をいじめるんです｣
｢誰が馬鹿だ。そして霧羽から離れろ！！｣
｢もー相変わらずうるさいですねへしくんは｣
｢へしくんと言うな！！お前はいつも宗三に甘いんだ！！｣
｢僕もう眠いです…｣
｢はいはい。部屋まで連れていきますよ｣
｢俺の話を聞かんか！！｣
怒鳴られているのを右から左に流し、手馴れた手つきで霧羽ほ宗三を抱き上げた。それも横抱き、お姫様抱っこである。流石に長谷部も目を見開いた。他の刀剣男士もあいた口が塞がらない。
｢おい何してる｣
｢何ってこのお姫様を部屋まで連れて行くんです｣
｢……手伝う｣
｢どうも。へしくんってたまに優しいですよね｣
軽々と運ぶ彼女を先頭に長谷部が後ろを着いてくる。審神者を寝かし時はとは反対に長谷部が布団を敷き、ゆっくりと宗三を降ろした。
｢村正…｣
｢ふふ、もうおやすみなさい織田の姫様｣
甘える彼に慈しむように頬を撫でる仕草はまるで恋人のようで長谷部は眉を潜めた。
｢それじゃあ小生も寝ますんで、おやすみなさい｣
｢ああ｣
霧羽も立ち去り月明かりに宗三と長谷部の影が薄暗く映る。
｢おいお前と霧羽は前からああなのか…｣
｢そうですよ。…昔からこういう所は変わらない｣
｢…｣
｢……彼女は変わった｣
｢ああ｣
｢何が、彼女を変えたんですか｣
長谷部からは布団に隠れて見えないが聞こえる声は震えていた。
｢彼女は昔の自分を殺してる｣
｢…｣
｢でも、彼女が笑っていられるなら僕は構いません｣
｢ああ｣
｢彼女を傷つけるようなら僕は貴方を許しません｣
｢わかっている｣
頭の働かない思考で宗三は昔のことを思い出していた。
『憐れなものだ。神である貴方方が妖である私に喰らわれるなど』
血に塗れ、刀そのものを宿した彼女を忘れないでいる。
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加州☆鶴丸☆三日月☆一期ファン - 消さないでください！！！！！ (2017年2月25日 21時) (
レス) id: 4110b38b3b (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 - 続きが読みたいです...消さないで。応援してます。 (2017年2月8日 17時) (レス) id: e4d207fc48 (このIDを非表示/違反報告)
ビタミン365日(プロフ) - 水鳥さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいです！この作品も話がいっぱいになったので新章を公開したいと考えています。新作のご意見も感謝です！！参考にさせていただきます。 (2017年2月1日 21時) (レス) id: edca99e45f (このIDを非表示/違反報告)
水鳥(プロフ) - 私としてはお話を続けてくださると嬉しいです。新作の方は刀剣女士のものが見たいです。新作もこのお話も楽しみにしています (2017年1月31日 20時) (レス) id: 55fe5a8c04 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 面白かったです！頑張ってください♪(´ε｀ )！ (2016年12月11日 9時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビタミン365日 x他1人 | 作成日時：2015年6月16日 20時
