●３７話 再開 ページ41
｢こっちが厨で、あちらが粟田口派の部屋です｣
｢…｣
｢廊下の突き当たりには厠があります。ふたつ隣には風呂場が、…｣
｢…、｣
｢あの、…｣
｢…｣
｢いい加減離れてくれませんかね。織田の姫様｣
｢…まだ僕を、その名で詠びますか｣
彼が離れることで息苦しかった呼吸が元に戻る。出会ってからずっと抱き着いていた彼に目を向けた。桜色の髪にどことなく艶のある雰囲気は昔のままだ。
｢相変わらず綺麗な瞳ですね｣
そっと彼に手を伸ばすと色違いの瞳を閉じて、猫のように己の擦り寄ってくる。その仕草に自然に笑みが零れた。
｢村正…｣
｢ざーんねん。今は霧羽と言う名をご主人に頂きましたから、私のことは霧羽と詠んで下さいな｣
｢何故あんなのが貴方の主ですか…｣
ご主人のことを思い出したのか呆れた様にため息を吐く彼に笑ってしまう。何だかんだでご主人の声に答えたのは彼自身なのに、ほんとに素直じゃない。
｢いい娘ですよ、貴方も時期にわかる｣
｢…、人嫌いの貴方が人の下につくなんて以外ですね｣
｢小生にも色々ありまして。まぁ、気にしないで下さいな｣
話を無理やり終わらせようと頭を撫でるが、納得してないらしく少し睨まれる。
｢本丸は大方案内しましたし、他に聞きたいことは？｣
｢なら、ひとつ…｣
｢はいはい｣
｢いつから、自分を卑下する呼び方をするようになったのですか？｣
ピクリと動きが止まる。思ってもみない言葉に一瞬息が詰まった。
｢…何のことですか？｣
｢誤魔化さないで下さい！！貴方は“ 小生”なんて言わなかった！貴方は、あの時…っ！！｣
｢＿＿＿＿宗三｣
己に掴みかかって感情を剥き出す彼を落ち着かせる様に名を詠んだ。驚いた彼は一瞬目を見開いたが次第に音もなく涙を流す。優しくそれをぬぐってやり、また頭を撫でた。
そう言えば、彼の名を詠ぶのも、触れるのも最初で最後だった気がする。
｢貴方はずるい人です…｣
｢…、｣
彼は昔の己を知っている。妖刀として生きた姿も、そのことに誇りを持っていたことも、きっと知っている。
｢宗三、“ 私 ”は大丈夫だ。“ 今の自分 ”に満足している｣
｢だけど、…っ｣
｢泣くな泣くな織田の姫。泣いては鬼が攫いに来るぞ｣
子供に言い聞かせる様に目線を合わせると、クスリと笑い声が聞こえた。｢また、それですか｣と小さく肩が震える。ああ、やっぱり君は外を見て憂うより、笑っている方が美しいよ。
**
話が全然まとまらない
●３８話 神様が愛した味→←〇３６話 来てくれたのは彼ですside審神者
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加州☆鶴丸☆三日月☆一期ファン - 消さないでください！！！！！ (2017年2月25日 21時) (
レス) id: 4110b38b3b (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 - 続きが読みたいです...消さないで。応援してます。 (2017年2月8日 17時) (レス) id: e4d207fc48 (このIDを非表示/違反報告)
ビタミン365日(プロフ) - 水鳥さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいです！この作品も話がいっぱいになったので新章を公開したいと考えています。新作のご意見も感謝です！！参考にさせていただきます。 (2017年2月1日 21時) (レス) id: edca99e45f (このIDを非表示/違反報告)
水鳥(プロフ) - 私としてはお話を続けてくださると嬉しいです。新作の方は刀剣女士のものが見たいです。新作もこのお話も楽しみにしています (2017年1月31日 20時) (レス) id: 55fe5a8c04 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 面白かったです！頑張ってください♪(´ε｀ )！ (2016年12月11日 9時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビタミン365日 x他1人 | 作成日時：2015年6月16日 20時
