＊ ページ32
自分の気持ちに気づいてからも、今まで通りの生活を送っていた。
正しくは、誰かに相談したくても、相談できなかった。
高2の春、転校生がやって来た。
Aと同郷のイケメンらしい。クラスでも話題になっていた。
丁度いいタイミングだと思った。
転校生だから、私の噂を聞いていないだろうから偏見なく、告白の返事を出してくれるだろうし、フラれて悔しかったら、自分の性別がどっちなのかわかるきっかけになると思った。
転校生は噂通りのイケメンで、浮所先輩のファンが揺れ動くくらいだった。
案の定、転校生にはフラれてしまった。
それなのに、涙は一滴もでなかった。今までの涙は嘘だった訳じゃない。
フラれて、寂しかったし、悔しかったら涙が出た。
自分の考えを頭で整理して、はっとした。
今までは、フラれたことに対しての涙じゃなく、必要とされていない寂しさからの涙だったんだと。
気持ち悪かった。
女なのに、女が好きな自分が嫌だった。
自然と涙が出てきた。
この涙の意味がわからない。
わからないけど、これで、彼女に会う口実がてきた。
私が、大西に告白したことを話すと、Aはショックを受けているようだった。
そういえば、初恋の人が10年間会っていない幼なじみだと聞いたことがあった。
Aの表情の意味とつながった。
それでも、Aは私を慰める。優しすぎる。
蜂蜜に砂糖をいれたくらい甘い。
こんなところが好きなはずなのに。
私は彼女の優しさに漬け込んで最低な女になることにした。
自分が一生かかっても引き出せないような照れた顔で、大西に挨拶しているAを見た。大西は無愛想に答えていた。
何で私にはその顔を見せてくれないんだろう。
心がモヤっと、ざわざした。
その度に、邪魔をした。
私のせいで、Aが泣いてると知ったとき、ショックよりも先にうれしいと思ってしまった。
こんなことで、自分のことを考えてくれるなら、安いもんだと思った。
そんな考えの自分が情けなくもあり、惨めだった。
もう前みたいに、仲のいい友達にはなれないなら、関係を自分で壊すほうがよっぽど楽だった。
自分を騙して、Aへの気持ちを大西へ向けるように精一杯、努力して、嫌な奴になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 429人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼音(プロフ) - spuare2の更新楽しみにしてましたが、消してしまったのならしょうがないですね。把握します！これからも頑張ってください (2019年11月25日 17時) (
レス) id: 8c6c513fbc (このIDを非表示/違反報告)
ぴーちぃ(プロフ) - 更新お疲れ様です！ (2019年10月31日 0時) (レス) id: 1a39a279d3 (このIDを非表示/違反報告)
けーぽ(プロフ) - ドキドキが止まりません！次の更新楽しみにしてます！ (2019年9月8日 16時) (レス) id: 386d70d567 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：田中 | 作成日時：2019年9月6日 22時
