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「あら美容師さん、る??いつもご贔屓にして頂いてありがとうございます〜」
「あぁいえそんな、こちらこそいつも美味しいパンを……」
常連さんとペコペコと会釈し合う店長。
……どういう状況?
「あ、そうだ! Aちゃんこれ忘れ物!」
「え、あ、カバン……」
「も〜美容師さんが待ってるって伝えたら慌てて荷物も持たず走って行くんだから」
「慌てて……走って……」
「あ、いやこれは、その」
「そうそう、今日は一日中お店の入り口気にしてたっけ〜?」
「別に、ただお客さんがいっぱい来るかどうか気になっただけでっ……店長!」
「あら〜ごめんなさいね〜気が利かなくて、お邪魔虫は消えないと!」
この状況が楽しいのか、ペラペラと喋り倒す店長。
「あ、そうだ美容師さん! ご贔屓にして下さってるお客様にこんな事頼むのもどうかと思うんだけど、Aちゃんの事近くまで送ってくれないかしら? もうこんなに時間も遅いし、夜道怖いじゃない?」
店長、とうとう気でも狂ったのか。
「店長何言って……!?」
「元々そのつもりです。 安心して下さい」
「え!? スンチョルさん?!」
「あらほんと? 安心して帰れるわ、じゃあねAちゃん! それじゃあ、Aちゃんのことお願いしますね〜」
「はい、大丈夫です。 任せて下さい」
呆気に取られ何も言えないでいる私をよそに、二人で会話を進め会釈までして店長は帰っていった。
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二人きりになり、少しの沈黙が流れる。
「……近くまで送るよ」
「え……あ、私一人で」
「送らせて。 ……家まで送るのは、もうちょっと仲良くなってからにするから、ね?」
優しく微笑む顔が、私を捉えて離さないその視線が、この空気感が、断れなくさせてる。
……きっと。
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「あ、そうだ。 ……これ」
少し歩いた所で、持っていた袋をガサゴソする常連さん。
「ココア飲める?」
「え、飲めます、けど……」
「良かった〜。 好みが分からなかったからココアにしてみたんだけど、飲めなかったらどうしようって」
当たり前のように差し出すもんで、受け取らない私がおかしい空気感が流れてる
そんな気がしてしょうがない。
「い、頂きます……ありがとうございます……」
会話が続かず少しばかり気まずい思いをしてるのは私だけなのか、常連さんは普通に歩いてた。
「……Aさんはさ、なんでパン屋さんになりたいの?」
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tyai - 本当にいつも素敵なお話をありがとうございました!ずっとだいすきです💓 (2023年4月2日 14時) (レス) id: 4eebb26101 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とにかく大好きで何回も読み直してます… すんちsideの話はもちろんですが、じすはんに冷やかされて嫉妬して拗ねる話がみたいです笑 (2023年3月30日 14時) (レス) id: 7eba4932cc (このIDを非表示/違反報告)
yuikuma965(プロフ) - すごくキュンキュンしました!私もこんなふうに追いかけられたい…笑短編集、嫉妬とかみてみたいです(´∀`) (2023年3月30日 2時) (レス) @page46 id: 1a04ea6328 (このIDを非表示/違反報告)
くす(プロフ) - お疲れ様でした(>_<)続編も楽しみすぎて、夜も寝られません、、、ご無理のない程度に更新楽しみにしてます!!!! (2023年3月30日 0時) (レス) @page46 id: 1558d9da93 (このIDを非表示/違反報告)
diva05(プロフ) - このお話すごい好きです!恋人になった後の2人の関係性や、そうなってからの夜のお話も見てみたいです。 (2023年3月29日 19時) (レス) @page46 id: d2c25335f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MIE | 作成日時:2023年3月13日 1時