心配性9 ページ10
あの平手打ちの事件から時が過ぎるのは
早いもので僕は実技試験当日を迎えた
「うわぁぁぁ……」
知ってはいたけど改めてこうしてみると
大きな建物だよなぁ…
周りを見渡すとたくさんの人がいて
やっぱりみんなピリピリとしていた
Aちゃんとかっちゃんは今日の朝も
練習をしてから来るらしく
一緒に来れなかったのは残念だなぁ、
なんて考えていると
「……うわっ！！」
「っと、危ねぇな！！
入試前に転んだりするんじゃねぇよ！！
お前怪我でもしたらどうすんだ！！」
「えぇ……、意外と過保護やん………
勝己ママ……」
「うるせぇ！！誰が勝己ママだ！！」」
聞き慣れた優しい声と、同じく聞き慣れた怒声が聞こえ、振り返るとそこには
しかめっ面のかっちゃんと、さっきの転倒で
かっちゃんに肩を掴まれているAちゃんがいた
周りの人は２人のやりとりを見て
クスリと笑っていて、
さっきまでのピリピリと張り詰めていた
緊張感はいつのまにか消えていた
２人ともやっぱりすごいや
そしていつの間にか僕からも緊張感は消えていて
うるさく早い鼓動は聞こえなくなっていた
「……あ！いずく！！」
僕に気が付いたAちゃんが
手を振りながら近づいてきた
「……………デク…お前……」
ひぃ、かっちゃんの顔が怖くて見れない…
「早く行こうぜ、A」
グイグイとAちゃんの服の裾を
引っ張るかっちゃん
「ち、ちょっと待ってよ……
出久も実技試験頑張ってね！」
半ばかっちゃんに引きずられるようにして
先に行ってしまったAちゃん達
「(以前とは違うんだ！！思い出せこの10ヶ月間を！！)」
踏み出せ……！！
「(
ガッ
その瞬間つまずき、転ぶ…！！と思った
けど僕はなぜか浮いていた
「！？」
「…大丈夫？？…………お互い頑張ろう！」
「……っは！！」
途中何言ってたかあんまり聞いてなかったけど…
「(女子と喋っちゃった！！！)」
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作者名：みりん | 作成日時：2019年4月10日 22時
