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side青



そして最後に箱の蓋を開けた先生は、小さく声を上げた。



「わっ・・・生チョコだ。美味しそう。いただきますね」

「はい」

「・・・うん! 甘いけどちょっとビターで僕好みです。すごく美味しいです」

「よかった・・・。甘い物あまり好きじゃなかったら、と思ってたんですけど」

「甘いの大好きです。特にチョコなんて大好物です。ありがとうございます」

「こちらこそ、ありがとうございます」



もう1個いただいちゃお、なんて可愛く呟いたかと思えばパクっとまた一つ食べて、思った通りコーヒーにも合いますねなんてカップを啜りながら笑ってくれる。

・・・やっぱり、好きだ、と思った。



「・・・松村先生。この前初めて会ったばかりで、俺も先生もお互いのこと何にも知らないけど、でも・・・」

「うん?」

「・・・俺、先生のことが好きです」

「え、」

「あっ、でも付き合ってほしいとかじゃなくて、気持ち、伝えたかっただけなんで・・・じゃあこれで」

「え、ちょっと、!」



コーヒー代をテーブルに置いて、足早に店を出る。

・・・やっぱり、伝えるんじゃなかったな。チョコを食べている時はあんなに幸せそうな顔をしてくれていたのに、すげぇ困った顔してた。そりゃそうか。

身勝手な自分の行動に後悔していると、



「待って! あの! 樹さん!」

「っ、え、なんで・・・」



なんと、先生は追いかけてきてくれた。

流石に想定外。

少し息を切らした先生が俺の前まで来て、樹さん、ともう一度俺の名前を呼んだ。



「えっと、まず、ありがとうございます。嬉しかったです」

「っ・・・」

「三者面談の時、急に来ることになったのに真剣に慎太郎くんのことを考えて話してくれて、凄く良いお兄さんだなと思いました。それと、このチョコ。色々考えて俺のために買ってくれたんだろうなって」

「・・・」

「さっき何も知らないって言ってましたけど、樹さんが、かっこよくて真面目で真っ直ぐで、素敵な人なんだってことはわかりました」

「っ、」

「・・・この気持ちがまだどういうものかわからないけど、・・・こんな俺でもいいですか?」



真剣な眼差しで俺を見つめて、そう伝えてくれた先生。

さっきはつい、付き合ってほしいとかじゃないなんて言ったけど、先生の方から言われたら嬉しくないわけがなくて。



「・・・絶対俺のこと好きにさせます」

「ふふ、凄い自信」

「へへっ。よろしくお願いします」

「こちらこそ」

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作者名:彩佑実 | 作成日時:2023年6月4日 19時

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