すとすと[短編集]

Ep.4「Number one, Only one」青×桃 ページ6

リアル、Ep.2, Ep.3と同じ世界線
・
side青



「･･･り、樹、じゅーり！ 起きてってば」

「んー。なに」

「何じゃない。もうすぐマネージャー来るから」

「んー。･･･え！ もうそんな時間！？ もっと早く起こしてよ！」

「いや、何回も起こしたからね？ 起きない樹が悪い」

「そか。ごめん大我」

「んーん」



身体を起こして、ベッドの縁に座っていた大我を抱き寄せる。

首筋に顔を埋めて息を吸うと、俺と同じ柔軟剤の匂いがする。

少しの間それを堪能していると、早く準備しなよと大我が言うから慌ててシャワーを浴びに行く。

今日も朝から6人での仕事。

マネージャーが迎えに来ると同時に準備が終わり、現場に着くなり初めて一緒のタイミングで楽屋に入る。



「お、大我と樹、おはよう！HAHA！」

「漸く仲良くご出勤か〜！」

「うるせ」

「ま、みんな気付いてたけどね」

「こらこーち、嘘付くな」



俺らよりだいぶ遅れて最近結ばれたらしい2組のカップルは、開口一番に茶化してくる。

隠しているつもりだったけど、やっぱりバレバレだったか。

そんなやり取りを入口で立ったままの俺の横で大我は恥ずかしそうに、でも嬉しそうに見ていた。

その後、俺より先にセットを終えてきた大我は俺の隣に来てソファに一緒に座る。

他のメンバーは入れ替わりでメイクをしに行っていて、今俺たちを見ている者はいないようだった。

すると大我が俺の名前を呼ぶ。



「樹」

「ん？」

「みんな幸せそうだね」

「そうだな。でも俺らが一番だべ」


そう言いながら大我の頭を撫でると、当たり前でしょと可愛く笑った。



「ちょっとお2人さん、ここ楽屋ね？ イチャイチャ禁止でーす」

「北斗、お前いつの間に！」

「俺らが一番辺りからね。てか俺とこーちに決まってんだろ」

「いーや、きょもと俺だし」

「はいはい、2人とも落ち着いて？ 俺と慎太郎が一番だから！」

「ジェス！」
「ジェシー！」

「もう、3人ともうるさい」



北斗のすぐ後に戻ってきたジェシーも含め、大我の一言でシュンとなる彼氏組。

すると、入るタイミングを失ってドアの隙間から覗いていたらしいこーちと慎太郎も笑いながら帰ってきて、くだらねえと俺らを見て言う。

こっちは真剣なのに。

すると大我は「さっきはああ言ったけど、それぞれの中で一番ならいいんじゃない」なんて言う。

ああ、やっぱり俺にとっては大我が一番だ。

後は俺だけだと言われ、足早にメイクをしに楽屋を出た。

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