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side黒
少しだけ残業をして帰路に着く。
ふと見上げた都会の空は施設のあるあの土地の空とはまるで違い、周りが明るすぎて晴れているのに星の1つも見えやしなかった。
昼間、大我に言われたことを思い出す。
何かあったらなんて、ただの仮定でしかない。何かあるとも限らないし。
ただ、「大丈夫」と言ったのは、そうありたいという願いも込めてのことだった。
でも、もし仮にジェシーが傍にいなくなったら、と考えてみる。
・・・俺は生きていけるのだろうか。いや、無理だ。
ジェシーからの愛情しか知らない俺がその彼を失ったら、きっと俺は俺ではいられなくなる。
そう思ったら、途端に恐くなった。と同時に、ジェシーに会いたくなった。
歩を速め、家に帰ると真っ直ぐ向かったリビングのソファに見つけたその姿に、鞄だけ投げ捨てて倒れ込むようにして抱き着いた。
「ちょ、北斗!? なに、どうし・・・」
「ジェシー・・・好きって、言って。ずっと傍にいるよって、言って」
「・・・北斗、好きだよ。俺は北斗から離れたりしない。ずっと一緒だよ」
「っ・・・俺も、好き。ジェシーさえいればいい」
「ほくちゃん・・・」
その声に顔を上げて視線を交わす。
うっすら涙を浮かべて俺を見るジェシーに、一瞬にして理性が飛んだ。
そして俺は初めて、自分からキスをした。
角度を変えて啄むようなキスから、徐々に深いものに変えていく。
ベッドに移動する時間も電気を消す時間も惜しくて、でも唯一テレビの電源だけは消して、そのまま互いの服に手をかけた。
「ほく、ほく」と何度も俺の名前を呼ぶジェシーに、俺は何度もキスを落とした。
・
夜中。
倒れるように移動したベッドの上で一眠りした後さっとシャワーを浴び、また寝室に戻って隣に静かに潜り込む。
暫く目を開けたままぼーっとしていると、意識を飛ばしうつ伏せで眠っていたジェシーが目を覚ます。
「ジェス、大丈夫?」
「うん。でも、今日土曜日でよかった、haha」
「あ。ごめん・・・」
「ううん、嬉しかった。何があったかは聞かないけど・・・ほくちゃんは、俺の隣からいなくなったりしないよね?」
「うん、絶対しないよ。死ぬまで一緒」
「よかった」
「・・・ねぇ、キスしよ」
「んっ・・・ほく・・・」
「ジェシー・・・愛してるよ」
「っ!・・・俺も、愛してる・・・」
何の偽りもなく、心の底から出たその言葉。
・・・この関係は、果たして。
Fin.
リクエストについて→←Ep.22「愛すより、愛されたい」黒×赤
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彩佑実(プロフ) - (かな名前)さん» コメントありがとうございます。パスワードを解読後、スクロールして頂きますと、下の方に◎と○の付いた文章がありそちらが条件となります。ご理解、ご協力頂いた後フォロリクを送って頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。 (2022年6月10日 19時) (レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
(かな名前)(プロフ) - コメント失礼します。Twitterの必読を見たのですが条件ってどこに書いてありますか? (2022年6月10日 19時) (レス) @page49 id: 937383c613 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実(プロフ) - けーた。さん» けーた。さん、初めまして。コメントまで下さりありがとうございます。私も末ズのときの緑くんが好きなので早い段階で書こうと決めていました。楽しんで頂けてとても嬉しいです。不定期となりますが、これからも何卒よろしくお願いします:) (2021年11月30日 22時) (レス) id: 22c3e91f96 (このIDを非表示/違反報告)
けーた。(プロフ) - 初めましてで失礼します。緑くんが絡むお話が好きでお邪魔しました。実は他に推しCPがあるのですが赤くんとの時は右側の緑くんすごく好きでして。お話、とても楽しませて頂きました。これからも素敵なお話楽しみにしています✻ (2021年11月30日 21時) (レス) @page8 id: 857c9b8bce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩佑実 | 作成日時:2021年11月27日 23時