Ep.17「Loving you」桃×黒 ページ38
リアル
・
side黒
「京本」
「ん?」
「・・・やっぱ、何でもない」
「そっか」
ああ、今日も言えなかった。
と、ここまでの流れを続けてかれこれ3ヶ月。
毎日とか、会う度にとかよりももっと少ない頻度ではあるけど、勇気が出せるのは話しかけるところまでで、その先の言葉は未だ紡げずにいる。
いつからかは本当に覚えていないんだけど、不仲不仲って言われ続けているとその相手である彼のことが気になってしまって。
仕草とか、表情とか、言葉とか、色んな彼を観察して知っていったら、いつの間にか好きになっていた。
そうしたら3ヶ月前、樹にサシで誘われた飲みの席でこんなことを言われた。
『北斗さ、きょものこと好きだろ』
『え、なんで知って・・・』
『やっぱり。見てりゃわかるって』
『そんなわかりやすい、俺?』
『まあな。でも、俺より先に気付いてたみたいよ』
『え、誰が』
『さあ? 俺からはもう何も言わない。とにかく、あとはお前次第なんじゃないの』
『そう言われてもな・・・』
と、こんな感じで諭されたというか背中を押されたというか。
誰がなんて聞いたけど、そんなの1人しかいないに決まっている。
俺の気持ちを知っていて、彼は待っているんだ。俺から行くのを待ってくれているんだ。
そう思って、樹との飲みの後、次に彼に会ったときからずっと言おうとはしているんだけど、なかなか言えずにいるというわけだ。
最初は話しかけることすら儘ならなくて、ひたすら彼の周りをうろうろしているだけだったから、相当変なやつだったと思う。
やっと名前を呼んで話しかけられるようになったのは1ヶ月前。
もう何度も冒頭のようなやり取りを繰り返しているけど、彼は嫌な顔せず、やっぱり待ってくれているようだ。
煮え切らない俺を見兼ねたのか、今日また樹に飲みに誘われた。
最後は2人別の仕事だったから、仕事を終えて各々店に向かう。
俺が着くと、樹はもう先にいた。
「ごめん、遅くなった」
「いや、全然。ビール?」
「うん」
ご飯というかつまみというか、いくつか料理も頼んで飲みながら食べながらたわいもない話をする樹。
なかなか本題に行かないから、遂には俺から話題に出す。
「樹、今日は何」
「何って何」
「だからその、俺と・・・京本のこと。なんか言いたいことあるんでしょ」
「いや、俺からは何も」
そう言うと、樹は何やらスマホを操作し始めた。
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彩佑実(プロフ) - (かな名前)さん» コメントありがとうございます。パスワードを解読後、スクロールして頂きますと、下の方に◎と○の付いた文章がありそちらが条件となります。ご理解、ご協力頂いた後フォロリクを送って頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。 (2022年6月10日 19時) (レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
(かな名前)(プロフ) - コメント失礼します。Twitterの必読を見たのですが条件ってどこに書いてありますか? (2022年6月10日 19時) (レス) @page49 id: 937383c613 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実(プロフ) - けーた。さん» けーた。さん、初めまして。コメントまで下さりありがとうございます。私も末ズのときの緑くんが好きなので早い段階で書こうと決めていました。楽しんで頂けてとても嬉しいです。不定期となりますが、これからも何卒よろしくお願いします:) (2021年11月30日 22時) (レス) id: 22c3e91f96 (このIDを非表示/違反報告)
けーた。(プロフ) - 初めましてで失礼します。緑くんが絡むお話が好きでお邪魔しました。実は他に推しCPがあるのですが赤くんとの時は右側の緑くんすごく好きでして。お話、とても楽しませて頂きました。これからも素敵なお話楽しみにしています✻ (2021年11月30日 21時) (レス) @page8 id: 857c9b8bce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩佑実 | 作成日時:2021年11月27日 23時