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side赤



そう、本当に騙すつもりなんてなかった。

ただ、2回目に会ったとき、ほぼ文章になっていない、単語だけの拙い英語で俺に必死に言いたいことを伝えようとしてくれる樹が、とてつもなく可愛くて、愛おしささえ芽生えて。

英語で話すのも悪くないなって、止められなくなった。



「日に日に樹は英語上手くなっていくし、頑張り屋さんなところも知れて、益々好きになった」

「っ・・・」

「樹は、どうしてそんなに頑張ってくれたの?」



今や普通の会話ならペラペラと話すことができるようになった樹。

3ヶ月程でここまでになるには相当努力したんだと思う。

その努力の源が、「愛」であったならいいなと思いながら、樹にそう問うてみた。

未だ顔を上げないまま、樹はポツリと呟く。



「・・・好き、だから」

「・・・」

「ジェシーのこと、好きになったから。色んな話したい、聞きたい、って思ったから・・・」



俺の思いと同じだったことが嬉しくて、片手で樹の肩を抱き俺の右肩に倒れさせるように引き寄せた。

樹の手が、俺の腰に控えめに回される。

それもまた嬉しくてキュッと力を強めた。



「樹」

「うん」

「俺、樹のことが好き。俺と、付き合ってほしい」

「・・・喜んで」

「ありがとう。・・・Juri, I love you」

「っ・・・I love you, too, Jesse」



抱き寄せていた手を解放し、今度は樹の両肩に手を置いて正面から向き合う。

見つめ合えば、どちらからともなく顔が近づく。

僅か1、2秒後に触れた、柔らかい唇の感触。

漸く結ばれた赤い糸を決して離すまいと、長く長く口付けた。







あれから1年。



「樹、おはよう。起きて、朝だよ」

「んー、ジェシー、手」

「はいはい」



半年前、俺たちは同棲を始めた。

朝が弱くて毎朝俺が手を引っ張ってあげないと起きられない樹は、今日もそうやって俺を呼ぶ。

朝はより甘え坊な年上彼女が可愛くて俺もついつい甘やかしてしまうから、樹は俺がいないとダメなんだろうと自惚れのようなことを思う。

勿論そんな俺も今更樹なしじゃ生きていけない。

何とか目を開けて洗顔をしてリビングに戻ってきた樹と、軽く作った朝ご飯を食べる。

ふと樹を見ると目が合って、ん?と首を傾げると樹は箸を置いた。



「ジェシー、これからも俺のそばにいてね」

「え、なに急に」

「今日、1年だから」

「あ、そっか。・・・樹こそ、俺から絶対離れないでよね」

「「I love you」」



Fin.

Ep.17「Loving you」桃×黒→←-2



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彩佑実(プロフ) - (かな名前)さん» コメントありがとうございます。パスワードを解読後、スクロールして頂きますと、下の方に◎と○の付いた文章がありそちらが条件となります。ご理解、ご協力頂いた後フォロリクを送って頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。 (2022年6月10日 19時) (レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
(かな名前)(プロフ) - コメント失礼します。Twitterの必読を見たのですが条件ってどこに書いてありますか? (2022年6月10日 19時) (レス) @page49 id: 937383c613 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実(プロフ) - けーた。さん» けーた。さん、初めまして。コメントまで下さりありがとうございます。私も末ズのときの緑くんが好きなので早い段階で書こうと決めていました。楽しんで頂けてとても嬉しいです。不定期となりますが、これからも何卒よろしくお願いします:) (2021年11月30日 22時) (レス) id: 22c3e91f96 (このIDを非表示/違反報告)
けーた。(プロフ) - 初めましてで失礼します。緑くんが絡むお話が好きでお邪魔しました。実は他に推しCPがあるのですが赤くんとの時は右側の緑くんすごく好きでして。お話、とても楽しませて頂きました。これからも素敵なお話楽しみにしています✻ (2021年11月30日 21時) (レス) @page8 id: 857c9b8bce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩佑実 | 作成日時:2021年11月27日 23時

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