story59─想い出し ページ32
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パチッと目を開ける。
「あ、起きた?」
考える間もなく、研君の声が聞こえてくる。
私は朦朧とする意識の中でゆっくり頷いた。……頭の整理がつかない。全て思い出したのだから。
祈織さんの事も、鳩の黒も、太宰さんの事も。
駆けつけたトーカちゃんに、いつも頼んでいたものを注文すると、研君に向き直る。
「……研君は、4年前の喰種狩りの事、知ってる?」
「喰種狩り……?いや、知らないね……」
「君がまだ人間だった時の話だよ」
知るわけないか。と私は笑う。研君は少し苦い顔をして”ごめんね”と呟く。
「……喰種狩り、なんて苦い思い出しか私はないですよ」
「トーカちゃん……。まぁでも、太宰さんの云う事が全てってわけじゃないけど、一時的に避難した方が良かったかなとは少し思うな」
「……」
どうしたの?トーカちゃん。なんでそんなに泣きそうな顔をしているの?
「……まだ、引き摺っているんですか?……祈織さんのこと」
「……今日で終わらせるよ。その為に東京に来たんだから」
”ご馳走様”と、私は代金をテーブルの上に置いて、未だ眠いと発信し続ける体を引きずる。
ドアに手をかけた時、後からトーカちゃんの声が聞こえた。
私は、それを聞いてないふりをしてドアを開けた。
「……貴方が後悔しない選択をしてください。思い出すか、また忘れるのか」
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うりゅき(プロフ) - 明けましておめでとうございます!モンゴメリちゃんも色々抱えてますからねぇ。いつかは弓月ちゃんとモンゴメリちゃんを絡ませたいです笑 森さんの殺気、どういう反応にするか迷ってるんですよねぇ。今年も私共々この作品をよろしくお願いします! (2019年1月1日 11時) (レス) id: dc3c37d785 (このIDを非表示/違反報告)
黒い天使 - あと、少し遅れましたが明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします! (2019年1月1日 0時) (レス) id: 79595964d2 (このIDを非表示/違反報告)
黒い天使 - 更新お疲れ様です!森さんとの絡みですね〜!敦君は流石です!ルーシーちゃんは、喰種ごときって...泣く... 森さんの殺気どう反応(?)するのか、気になります!次回の更新楽しみにしてます! (2019年1月1日 0時) (レス) id: 79595964d2 (このIDを非表示/違反報告)
うりゅき(プロフ) - 黒い天使さん» コメントありがとうございます!異能力者VS喰種ですね!私も書きたい衝動に駆られうずうずしてます(笑) (2018年12月28日 18時) (レス) id: dc3c37d785 (このIDを非表示/違反報告)
黒い天使 - 真逆、原作の交差点だとは!トーカちゃんなら羽赫使って自力で脱出しようとするだろうなぁ…って思います(笑)森さんと、どう関わるのか気になります!更新お疲れ様です!次回も待ってます! (2018年12月27日 23時) (レス) id: 79595964d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りうゅき x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sHihamu131/
作成日時:2018年9月30日 20時