story53─同類 ページ26
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思わず呟いてはっと口を塞ぐ。拙い、今までずっと喰種を食べてた私とは違って、祈織さんは普通に人間を食すのだ。
……嗚呼、私は此処でも居場所をなくすのだろうか。いや、なにか弁解を……
私があたふたとしている光景を見て、祈織さんはくつくつと笑っている。
どこが可笑しいのか分からず、それを見て私は唖然としてしまった。
「ごめんね。実は、これ喰種なのよ。貴方が人間を食べてきたものだとばかり思っていたから、少し、嘘をついてしまったの」
「……へ」
私は、力が抜けて……というより、緊張の縄が解けて、その場にぺたりと膝をついた。
まだ何もいえず、ぱくぱくと口を動かしているだけの私を見て、祈織さんは微笑んだ。
「私もね、貴方と同じよ」
「……同じ?」
やっとでた声は、自身にしては小さくて、弱々しくて情けない声だった。
私と同じだと云った彼女は、私を安心させるように、私の頭の上に手を重ねた。
「貴方もだと思うけど……、私は人間が好き。だから、小さい頃から人間の肉を食べることが出来なかったの。いつからか、喰種を食べてた」
……嗚呼、私と一緒じゃないか。
ずっと、ずっと私は可笑しいと蔑まれてきた。
“人間の何処がいいんだ。““人間なんて俺らを怖がっちまう。“なんて声も聞いてきた。
そんな人達を、私は幾度も殺した。お前らに人間の何が分かる……と。
人間は、喰種より真っ白で、綺麗で、美しく儚い生き物だ。そんなものを食べるなんてできなかった。
「私は、人間が好きだからずっと蔑まれてきた。だから、人間と触れ合えるような喫茶店を立ち上げたのよ……A?」
私は、何故名前を呼ばれたのか最初は解らなかった。……でも、理解した。ちゃんと。
私の頬に、生暖かいものが伝っていたから。
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うりゅき(プロフ) - 明けましておめでとうございます!モンゴメリちゃんも色々抱えてますからねぇ。いつかは弓月ちゃんとモンゴメリちゃんを絡ませたいです笑 森さんの殺気、どういう反応にするか迷ってるんですよねぇ。今年も私共々この作品をよろしくお願いします! (2019年1月1日 11時) (レス) id: dc3c37d785 (このIDを非表示/違反報告)
黒い天使 - あと、少し遅れましたが明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします! (2019年1月1日 0時) (レス) id: 79595964d2 (このIDを非表示/違反報告)
黒い天使 - 更新お疲れ様です!森さんとの絡みですね〜!敦君は流石です!ルーシーちゃんは、喰種ごときって...泣く... 森さんの殺気どう反応(?)するのか、気になります!次回の更新楽しみにしてます! (2019年1月1日 0時) (レス) id: 79595964d2 (このIDを非表示/違反報告)
うりゅき(プロフ) - 黒い天使さん» コメントありがとうございます!異能力者VS喰種ですね!私も書きたい衝動に駆られうずうずしてます(笑) (2018年12月28日 18時) (レス) id: dc3c37d785 (このIDを非表示/違反報告)
黒い天使 - 真逆、原作の交差点だとは!トーカちゃんなら羽赫使って自力で脱出しようとするだろうなぁ…って思います(笑)森さんと、どう関わるのか気になります!更新お疲れ様です!次回も待ってます! (2018年12月27日 23時) (レス) id: 79595964d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りうゅき x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sHihamu131/
作成日時:2018年9月30日 20時