【男性声優】さ い だ ー が ー る ! ! ９【愛され】

▽6 ページ17

・

それからホーンテッドマンションや、スティッチのエンカウンター、FPでのモンスターズインク、バズライトイヤーなんかも乗った。

いつも表情筋があまり動かない梅原も、終始顔が綻んでいた…気がする。

もうだいぶ日も暮れてきている。

ディズニーに来ると、本当に時間があっという間だ。

夜は夜でライトアップが眩しいくらいに綺麗で、ディズニーの見所は何時なんときも途絶えることは無い。


そんな夜景にピッタリなのが、蒸気船マークトウェイン号。
幸いショーの時間で、待ち時間は5分だ。

シーにあるヴェネチアンゴンドラの様に、ロマンチックな雰囲気がある。


外に出て手すりに肘をつきながら、｢ほんと…綺麗ー…。｣と夜景に酔いしれてしまう。

ついぼぉっとしていると、ふと梅原が何も喋らないのに気づいた。

顔を上げて梅原の方を見る。



｢ねぇうめち…んっ。……あ、え？｣

梅｢プレゼント。｣

｢…え、私に？梅ちゃんが？！｣

梅｢うん。あの、俺ぬいぐるみってそれぞれ顔？が違うって事知らなくて。ごめん。｣

｢そんなの全然いいよ…わっ、ミニーちゃんだ…でかっ！！｣

梅｢丁度いいかなって。嬉しいでしょ。｣

｢…っあはは！！うん、すっごく嬉しい。｣

梅｢…今日、俺の誘い受けてくれて、俺嬉しかった。Aのおかげで楽しかったし。｣

｢…ほんと？｣

梅｢うん。すげぇ楽しかったよ。｣

｢…えへ、えへへ……｣



直球で褒められて、普通に照れる。

最近喋ったりして気づいたのだが、梅原はなんだか昔より素直になった。

そりゃ数年もあれば人も変わるだろう。


すると、｢そんないつになく優しい梅原さんにー…｣と言ってくるA。

Aからも何かあるらしい。

｢目、瞑って？｣と言われて、ドキッと胸がときめく。


この業界にいればわかる。

目を瞑って。
それはつまりキスしますよの合図。

｢いやまさかあのAが、｣｢っあでもちょっと期待したい｣等と考えてしまう。


…が、唇に感じたのはぬいぐるみのようなふわっとしたもの。









｢驚いた？｣


梅｢…期待返せよ。｣


｢えっなんで？！もっといいのが良かった？！あれ！？｣






おそろいのミッキーとミニーを抱いて、

前みたいに笑って、


この魔法の様な毎日が、
いつまでも消えませんように。


.

▽バチバチの話。→←▽5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す