【男性声優】さ い だ ー が ー る ! ! ７【愛され】

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猫みたいな甘い言い方で名前を呼ばれて、ぱっと振り向く。


ほんのりいい香りがして、
でもそれは香水みたいな匂いじゃない。

Aの匂い、甘すぎずキツすぎず。

夏を匂いにしたら きっとこういう…そう、太陽みたいな。
そんな香り。


目に入った前にいる可愛いあの子は、ちょっと恥ずかしげに｢どうでしょ。｣と照れ笑っていた。

・

自分はもういい大人だ。

43歳、今年で44。

好きな人の浴衣程度で照れるような、そんなガキみたいな事。

もっと、｢可愛い、綺麗だよ。｣と言えるくらい余裕があるような、そんな自分だけと思っていたのに。


きっと自分の今の顔は、ほんのり赤くなっている。
頬に熱が集まっている感覚が、何となく感じられた。

さっきまで浴衣姿を想像しながら思いついていた褒め言葉が、一気に飛んだ。


｢…っあー…あの……。｣と声を渋っていると、｢えっ、ちょっと待ってなんか可笑しいとこありました？！久しぶりに着たから…｣と慌て出すA。

思わず、｢ちがっ、そうじゃなくて…。｣とまだ思い浮かばない褒め言葉を零し始める。



｢え？｣

浅｢あーー……うん、すげぇ可愛い…綺麗、だよ…。｣

｢……｣

浅｢……んだよ。｣

｢いやあの…素直に褒められたのが、照れる…んですけど…。｣

浅｢言った俺のが照れるから。｣

｢…その割には随分やらしい顔してますね。｣

浅｢恥ずかしいより可愛いの方が勝っちゃって。｣

｢…｣

浅｢…｣

｢…｣

浅｢…綺麗だよ、A。俺には勿体ない位。｣

｢ッやめてくださいマジで！！｣



ボンッとさらに顔が赤くなる。

そんな褒め殺し、されたくない。

慣れていない、
慣れるわけがない。


｢う〜…。｣と熱々になった顔を両手で抑えていると、ひょこっと浅沼の微笑んだ顔が目の前に現れた。









浅｢行こ？花火大会。｣


｢………はい…。｣





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