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二週間後。
Aは、代わり映えのない毎日を過ごしていた。
朝起きて、
ご飯を食べて。
お昼過ぎに先生とおしゃべりしてから、
病室に戻って本を読む。
本が読み終わればログインボーナスを受け取って、
夜ご飯を食べ終え就寝。
健康的な生活だと言うことはわかっているが、つまらないものはつまらない。
本だってもう20冊程読んでしまった。
前までは声を失ったアリエルの気分だったが、今では塔の上に閉じこめられてしまっていたラプンツェルの気分だ。
自分の声さえ戻ってきてくれれば、こんな生活も終わるのに。
「はぁ…」とため息をついて、ぼふっとベッドに倒れ込む。
話し相手もいない。
やることもない。
そんなことがこんなにも退屈だなんて。
呑気に空想をしていると、突然ガラガラ…と扉が開いた。
お医者さん…もしくは看護士さん辺りだろう。
じっ…とカーテンの方を見ていると、チラッと隙間から見慣れた顔が見えた。
「…っあ……!!」
K「やっほAちゃん。元気してた?」
「けっ、…さ!!……!!」
K「おうおう落ち着いて落ち着いて。」
「!!」
[なんで来たんですか?]
K「文面は冷たいけど、Aちゃん見てる限りは随分退屈してたみたいじゃん。」
[久しぶりに先輩としゃべります!うれしい!]
K「うん、俺も。ちょっと仕事落ち着いてさ…ようやく来れた。
ほんとは浅沼さんとかたつとかも来たいんだろうけど、何せこの時期立て込むからさ…。」
[重々承知です。]
近くにあった丸椅子に座って、持ってきたお土産を並べてくれるKENN。
なんでも、先輩たちや後輩たちに頼まれて持ってきたものが沢山あるらしい。
次々出てくるものに、自然と顔も緩む。
久しぶりに表情筋を使った。
そんなAの顔を見て、KENNも安心する。
KENNは、ベッドに置いた腕に顔を埋めて、ちらっとAの顔を見ながら微笑んだ。
「ねぇ、A。」と名前を呼ぶ。
K「前に言ってたお願い。頼って。」
「…!」
K「俺は、浅沼さんみたいにお兄さんでもなければ…たつみたいに男前でもない。
…それくらいしか出来ないから、ね。」
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み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - りりとさん» りりとさんお久しぶりです〜!前回告知したのに中々回収出来ずお待たせしてしまって申し訳ない限り…;;たまにはいいかなと思ったら歯止め効かなくなってゲロ甘になりました.笑 こちらこそ、これからも飽きずに読んであげて下さい! (2019年7月28日 1時) (レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - みかんさん» リクエスト承りました!! (2019年7月28日 1時) (レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - ティーさん» 何やかんやこの作品、そういう王道系全然やってなくて「…あれ、愛してるゲームやってなかったっけ?!」ってなりました.笑 (2019年7月25日 1時) (レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - Lunaさん» Lunaさんお久しぶりです〜!勿論覚えてますよ!いつもコメントありがとうございます!成程…確かにそれもありですね…考えたことも無かった……。全然面倒でも無いんですけど、まだ先の事なので確実とはいえないですごめんなさい;; (2019年7月25日 1時) (レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
りりと(プロフ) - みゅーぽむさん、こんにちは!さいだーがーる 7 おめでとうございます!!更新されるたびとても嬉しいのに、リクまで気にかけていてくださって…!感激です!ジコチューの話、こっちまでドキドキして…!続編もとっても楽しみです! (2019年7月23日 0時) (レス) id: a17b8661a7 (このIDを非表示/違反報告)
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