少し打ち解けた弟分と私は。 ページ9
それから1ヶ月間。鬼の寝ない習性をフルに活用し短期間で自分の型を獪岳は作り出した。
「漆ノ型…天満大自在天神!!」
目にも見えないような、鬼の動体視力でギリギリ追える早さの技を放った獪岳から雷を纏う雷神の姿が一瞬見えた。
そう…たった1ヶ月で獪岳は最高峰の技を完成させた。もちろん才能もあるけれど努力の天才だと思う。
「おめでとう獪岳〜!!」
「止めろバカ女!!」
獪岳の努力が実を結んだことに感極まって飛び付く私をぐいぐいと手で押し退けられる。悲しいけどこれはいつものことである。きっと照れくさいんだよね、うん。
それはそうと。強力な新技をつくることができたから、この調子ならあとは…もっと血鬼術を使いこなせばもっと完璧な強さを手に入れれるはず。
「これだけ強い技があるんだからあとはもっと血鬼術の完成度を上げたら上弦も夢じゃないと思うよ。」
一緒に過ごしている間に、獪岳は鬼にになる前「俺の方が優れていて努力してるのにも関わらず、師匠が弟弟子を贔屓してやがった」と言っていた。私はその人たちのことをよく知りはしないけれど、きっと獪岳は元師匠の特別な弟子として存在したかったんだ。独占欲が強いのか、認証欲求が強すぎるのか。神様の役に立ってもらう為に…強くなってもらい上弦に収まってもらおう。…というのは建前でせっかくできた弟分を猫可愛がりしたいのと、置かれてた状況は全然違うけど私も人間時代はあまりいい思い出ないから私といる間だけでも全力で獪岳の頑張りを認めてあげていい思い出とかを増やしてあげたい。獪岳の努力も才能も評価して、望む言葉を与えてあげたい。
「上弦…か。そうだな。鬼殺隊だった頃は柱を目指していたんだかは。鬼になったなら上弦を目指すべきだな。」
「獪岳なら絶対なれるよ、応援してる。私の大事な弟分だしね。」
「…俺を正しく評価できる奴は善だ。新しい型、上弦の件。バカ女って言うのはやめてやるよ。お前は俺を正しく評価してる。」
「なにその基準!?」
唐突に獪岳からバカ女と言われなくなるようになった。変わった基準だけど、まあバカ女って言われなくなったのは獪岳と仲良くなれたってことだしいいのかな…?
きっとこれからも平和で平穏、くだらなく楽しく充実した毎日。こんな時間が続けばいいなぁ。私はそう思っていた。
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作者名:リナ | 作成日時:2020年12月14日 2時