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「……え」
伊之助のその言葉にその場にいた三人が思わず動きを止めた。そして三者三様の反応をそれぞれが見せる。炭治郎は悲しそうに眉を下げて、Aは感情のわからない表情で伊之助を見つめ、善逸はそんな二人を悲しそうな顔で見ていた。
「あ? だってお前ら二人はお互いのこと好きなんだろ。じゃあ『こいびと』じゃねえか」
伊之助はさも当然のことのように言った。けれど三人の反応がどこかおかしいことに気付くと伊之助はあたふたと焦りながら訊ねた。
「ま、まさか、お前ら……。お互いの事、す、好きじゃねえのか? き、嫌いなのか?」
Aはそう言って慌てる伊之助をなだめながら言った。
「伊之助、違うよ、違うの。私と炭治郎は確かにお互いのことが好きだけど……」
炭治郎はAの言葉に続けるようにして伊之助に説明をする。
「伊之助。俺とAは恋人にはなれないんだ」
炭治郎とAがお互いのことを嫌いではないと知って、伊之助は少し安心したような様子を見せた。
しかし、炭治郎とAが『恋人ではない』ことに対してはどうやら違和感を抱いたようだった。
「はあー? 意味わかんねえ。好きなのに何でこいびとになれねえんだよ」
善逸はそんな様子を見かねて伊之助の言葉を止めようとした。
「伊之助、もう――」
しかし、Aはそんな善逸の言葉を遮った。
「伊之助、それはね」
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「私達が、兄妹だからなの」
Aは伊之助に向かって微笑みながら言った。その言葉を聞いた炭治郎はどこか寂しそうに笑っていた。
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作者名:さぬやぎ | 作成日時:2020年4月13日 13時