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まふさんやそらるさん達が帰った今、俺とAで大乱闘。
「何気…強い…」
『なるせちゃんに負けてるけどね…』
あはは、と苦笑いを零す彼女はさっきの怯えた顔より何倍も良い。気を紛らわそうと、ゲームをやっていたらしかったのでそれの続きをしていた。
「……急に押し掛けてごめん。迷惑…だったよな?」
一戦を終えると俺は良いタイミングだと思い話し掛けた。ううん全然、と笑顔で微笑み掛けてくれるAは本当に優しい。
きっとまふさんはこの笑顔にもやられたのだろう。中身だって最高に良い人だ。恋愛対象とかそういうのではなくこの人の事が好きだ。
…なんて考えていると次はAから話し掛けてくれた。
『…あのね、なるせちゃん…私決めたの』
「ん?」
微笑みながらも真剣さが伝わってくる彼女の目。さっきの出来事に関係しているのかなと思えばそれは的中。
『私…まふ君の症状、治してあげようと思う』
「………へぇ…」
そうか、まふ君の症状を治す…か。でもさかりって、ソウイウ事しないといけないんだよなー。
大変だなぁ…頑張れー…。
「…。」
『…。』
…あれを、治す?
ゆっくりAの方を向けば顔がタコのように赤くなり湯気が出そうなほど。
Aだって治し方を知っているはず。だからこんな反応何だよな?
「……い、いや…はぁ!?」
「何言ってんだよ!」とこっちまで赤みが乗り移ってしまったのか…熱が篭っている気がする。
「わ、分かってるよ!」とあたふたしてゲーム機を床に置く。
『…大事だって…分かってるよ。けど、私はまふ君の先輩だから、長く一緒にいるし…』
「それとこれとは全くの別物だろ!?あれを治すだぞ!本当に分かってる!?」
それでも理解していると言い切るA。いくら後輩だからってそれは流石に…。
「もう決めた事だから」と何が何でも行動する気だ。駄目だと言っても聞いてくれない。Aって別にまふさんの事好きとかじゃなさそうなのに…何で?
『私ね、天月君に言われたんだ』
「な、何を…?」
瞼を伏せ、長いまつ毛が揺れる。ぎゅっと足の上にある拳を握り締め、俺の事を真剣に見つめ直した。
"…私は、何だかんだ言ってまふ君の言う事、聞いちゃうんだってさ。"
「…。」
「そうかもしれないね」…なんて、そんな柔らかい笑顔で言うなよ。
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作者名:花 x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/ryou/
作成日時:2018年2月2日 22時