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彼は一つ気になっていることがあった。
なぜ彼女は怪盗をやっているのだろうか。

いや、なんとなく想像はしている。
だがどうしても本人から聞きたかった。

聞きたい……というより確認したいだろうか。


「ねえ…ファイはなんで怪盗をしてるの?」


もしかしたら、もしかしたら、
“自分と同じなのかもしれない”。

そんな淡い思いを抱きながら。
楽しかったのは久しぶりだったから。

……自分はどこか狂っているのだろうか。
半ば祈りながら、相手の答えを待っていた。


「物事をやる理由なんて一つとちゃうん?

『楽しいから』

……私が怪盗やっとる理由なんて、
それだけで十分っちゅうこと!」


ズバリと言い切る彼女の真っ赤な瞳には、
自信と好奇心に満ちた光と幼心が光っていた。


「シャルだって探偵やるんが楽しいから、
こうして私と勝負してくれとるんやろ?

見たら分かるで。私と追っかけっこしとる時の
シャル……めっちゃくちゃ楽しそうやから!」


『楽しいから』

そう言い切るファイの言葉を聞いた時、
自分が間違っていなかったことがわかった。

……やっぱり同じだった。


「ハハ……そうだね、僕もそうだよ。

『正しいことがしたいから』とか、
『人を助けたいから』とか……

そんな大層な理由じゃない。
ただ、楽しいからやってるんだ」


その目を見た時、その光を見た時、
その何者にも染まらぬ幼心に触れた時……

あぁ…敵わないなと思った。


「凄いね、ファイは。そこは憧れるよ。」

「ハハ、“そこは”って何やねん!
いっそ全部憧れてくれたってええのに……」

「アハハ!全部は……無理かな〜」


ファイはベタなツッコミを入れ、
もう一度カーシャルと目を合わせる。

そこには、自分と同じ光のこもった瞳が、
世界に二つだけの瞳が、美しく輝いていた。


「コレは、絵画より綺麗なお宝かもな……」

「……?絵画より綺麗…?」



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もみじまんじゅう☆せつね(プロフ) - ゆうひさん» コメントありがとうございます!イラストも本当にかわいくて感謝しかないです…!改めてここでお礼を言わせて頂きます!これからも見てもらえると幸いです。 (7月9日 21時) (レス) id: 89e2ed1630 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - わわわ…めちゃくちゃ平和で可愛い…。こんなに暖かくまとめて書いて下さってありがとうございます…!!これからも是非よろしくお願いいたします!! (7月9日 20時) (レス) @page20 id: 44a03850b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もみじまんじゅう☆せつね | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2023年6月26日 20時

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