□ ページ8
.
少しズルかったかなと思いながら、
目の前の怪盗へ自身の勝利を告げる。
「さあ、盗んだそれ、返してもらおうか。
そうしたら、見逃してあげても良いかもよ？」
「……これは一本取られたなぁ〜
いや〜、先回りなんてズルいで！」
ファイがむっとした表情で頬を膨らませる。
対するカーシャルは、笑いながら話していた。
あのままワイヤーを使われていたら、
彼では絶対に追いつけなかっただろう。
「ふふ、ごめんごめん。
でも、ファイだってワイヤー使って、
僕は走ってたんだしズルかったよ！」
「あっ、確かに言われてみると……」
彼女も彼女で納得してしまったのか、
彼の意見にそれもそうだと呟いた。
しかし、仮にワイヤーを使っていても、
結局絵画が無事で済んだのかは五分五分だ。
「ちなみに、手解きは受けんってのが、
怪盗ファイちゃんのポリシーやからな〜？
返すんも、捕まるんも遠慮させてもらうで」
彼に宣言するファイの手には、
絵画がしっかり抱えられている。
どうやら渡す気は無さそうだ。
「そっか……返してくれないんだね。
……じゃあ、君はどうするつもりなの？」
勝利した為か、少し余裕そうな素振りで問う。
周りには警察…そして目の前に探偵。
一体彼女はどうするつもりなのなろうか。
どうにかしようとも相手はこの人数。
正面から向かっても勝算はなさそうだ。
「……うーん、そうやなぁ。
ほんなら、この絵は一旦返す！」
「えっ！？」
特別なことでも大事でもないような、
ケロッとした顔で、彼に絵画を握らせる。
カーシャルはいきなり返されたので、
落としそうになるも、すぐに持ち直す。
「わ、わかった……えっと…じゃあ、
警察の方々、ありがとうございました。
僕は少し彼女と話があるので任せてください。
その間、壊れたり紛失したものがないか、
美術品の確認をよろしくお願いします」
カーシャルは警察に指示を出す。
そして、バラバラと人は散ってゆく。
「あっ、確認とかは別に大丈夫やで〜？
ファイちゃん物はあんま壊さん主義で
この怪盗やらしてもろとるから〜！
それに予告状だけやし……って言うても、
それがケーサツの人らの仕事やったな」
確認で動き出す警官を止めようとするが、
別に、彼らの仕事を奪う気はなかった。
そして改めてカーシャルに向き直る。
「ほんで……シャルは何か、
私と話したいことでもあるん？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もみじまんじゅう☆せつね(プロフ) - ゆうひさん» コメントありがとうございます！イラストも本当にかわいくて感謝しかないです…！改めてここでお礼を言わせて頂きます！これからも見てもらえると幸いです。 (7月9日 21時) (
レス) id: 89e2ed1630 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - わわわ…めちゃくちゃ平和で可愛い…。こんなに暖かくまとめて書いて下さってありがとうございます…！！これからも是非よろしくお願いいたします！！ (7月9日 20時) (レス) @page20 id: 44a03850b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もみじまんじゅう☆せつね | 作者ホームページ：http:
作成日時：2023年6月26日 20時
