ニンゲンが地下世界に“召喚”されました…！？ <３>【UNDERTALE 長編夢小説】

第86話 突破口 ページ2

サンズside


王から告げられた“ニンゲンの命を狙うことはしない”という言葉。それを聞いた瞬間、オレの中にあったしがらみが崩れ去る音がした。


彼が歪んた顔でオレたち民に宣言したあの日から、地下世界は、平和でありながらもどこかもの悲しさを抱えたまま、長い時を刻んでいった。
ニンゲンが落ちてくればオレたち民に捕らえられ、そして王の手が下される。

ずっと、その繰り返しだった。


そんな長い歴史の中で、今、変革が起ころうとしている。王は考えを改め、もう犠牲を出さない方法でこの地下世界からの民の解放を願っている。
つまりそれは、Aやオレたちが目指している‟皆の笑顔を守る未来”への一歩を、確実に踏み出したということだ。


オレたちに手伝って欲しいと力なく懇願する彼に、オレとアルフィーは頷き合い、笑って彼に手を差し出したのだった。



「王、教えてください。彼の両親が考えていたという、バリア破壊計画について…」



王の状態が落ち着いたところで、オレは話を切り出した。彼は頷き、懐から一冊の古めかしい本を取り出した。



「この研究書によれば、まず、件のカードを用いて七人のニンゲンを召喚する。そして、魔法能力を得た彼らが結集し、とあるカードの能力を用いてバリアへと強力な魔法を打ち込むことで、破壊しようという計画だ。しかし…」



彼は眉尻を下げて続ける。



「昔と今では状況が少し異なる。ニンゲンを召喚できるのは、彼らガードナー家の血筋を引く者のみなんだ。どんなに魔法能力が高くても、他の者がそれを行うことはできない…。そして、今それを行うことができる唯一の存在が、デイビッドなんだ」

「つまり、彼の力で、残り六人のニンゲンを召喚する必要があるということですね」



オレの言葉に彼は頷く。



「ああ…。ただ、あの召喚魔法は術者への負担が大きい。それにあの子は、両親程の強い魔力を持っている訳でもない。だから一度召喚を行えば、一時的に衰弱状態に陥ってしまうんだ。……甘いとはわかっているが、あの子の呻く姿を、私はあれ以上見たくない…」

「そう…ですよね」



アルフィーは静かに頷き瞳を伏せた。王はそして、オレたちを真剣に見て言った。



「だから私は…別の可能性を考えた。それも、上手くいけば時間を掛けることなくバリアを破壊できる」

「！ それは一体…？」



王から告げられた方法を聞いて、オレはその意外さに驚きつつも、気付けば笑顔を浮かべていたのだった――

第87話 報せ→←第85話 王

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す