外の空気 ページ33
『ねぇいるま？』
い「ん？」
『…海鮮丼、食べさせてくれてありがと』
い「…」
『今度からは自分でちゃんと食べるから』
い「…そ」
『…あのさ』
い「なんですか」
『怒ってる…？』
い「なんで？」
『なんとなくだけど…』
い「…怒ってないって言ったら嘘ですね」
『ごめんなさい…』
い「別にお嬢様に怒ってるなんて言ってないですけど」
『え？でも…じゃあなにに怒ってるの？』
い「自分」
『え？』
い「俺、あいつらみたいに執事やっていけんのかなって」
『…どういうこと？』
い「どっちかって言うと俺は執事に向いていません」
『どうしてそう思うの？』
い「執事ってお嬢様のお世話とか、家事とか、そういうのですよね」
『…』
い「俺、そういうの一切やったことないですよ？」
『…でも』
い「俺は執事に向いてないです」
『…本当に？』
い「…？」
『だって、執事って私のお世話をすることだけとは限らないわ』
い「…だったらなんですか？」
『私は今のいるまのままでいいと思うの、いるまがいるまじゃなくなったら、それでこそ嫌だし…それにいるまの良さだってちゃんとあるし』
い「…」
『世の中とかはお世話をするのが執事とかそう思う人も多いと思うけど…私は執事が側に居てくれるだけで執事って言えるんじゃないかなって思ってるの』
い「…そんなの、誰でも出来るじゃないですか」
『そうね、でも…案外そうでもないのよ』
い「…？」
『昔、らんが来る前…私の元執事達はすぐ私から離れて行って、私を置いてった』
い「…」
『離れて行かれると、凄く辛いのよ？怖いし…』
『らんと初めて出会った時も、ほんの少しだけ警戒してたの』
い「え、でもそう見えなかったですけど…」
『そうね…隠してたから…でも、今は信じてる。』
い「…」
『だからいるまが辞めるとか言ったら許さないわよ』
い「…最後まで、我が儘ですね」
『我が儘で結構よ。』
い「…ほんとうに、俺が執事でいいんですか？」
『だから言ってるでしょ、いるまが執事になった以上、これからもずっと私の執事になってもらうからね』
い「…はぁ」
『…』
い「わかりましたよ、」
『！ほんとに？』
い「じゃなきゃなんなんですか、」
『やった！✨じゃあ戻りましょ！』
い「そうですね」
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作者名：ルカ | 作成日時：2024年1月28日 18時
