第25話 ページ26
『ありがと！』
す「うん」
『あ！』
Aは何かを思い出したと思ったら急にグルんっとすちに向きを変えた。
す「？」
『運んでくれてありがとねっ！ﾆｺｯ』
す「…うん」
彼女は”ありがと”と言い残すと、すぐにらんの所に向かっていった。
す「…あー…もう…」
〜〜
『らん！！』
ら「…」
『あ、えと…』
そうだった…無視されるんだった…
『…ごめん』
ら「…」
『ちょっと…来てくれないかな？』
ら「…」
『…ぁー…ｸﾞｲｯ』
私はらんが黙ってくるのを少し不満に思いながらも、らんの手を掴んで無理やりあの場所へと引っ張った。
ら「…!?」
『ﾀｯ』
ら「…」
〜〜
『…』
ら「…」
『私ね、本当の自分について考えたんだけど』
ら「…」
『ﾊﾞｯ』
私はらんの顔を覗き込んだ。相変わらず澄んだ目をしていた。
ら「…!?ﾌｲｯ…」
らんは急に私が目の前に来たのにびっくりしたのか、私から顔をそむけた。
『…ねぇ、私の、全部…ではないけど…話してもいいかな…？』
ら「…ｺｸｯ」
『…ﾆｺｯ』
『私ね……』
『本当は普通の人間に…生まれたかったんだ』
ら「！…」
『でもね、神様はそれを許してくれなかった…もちろん人間界のボスも…』
『私ね、この場所に来てから心が無いように、息をひそめて生きてきた。誰にもばれないように、だって…』
『友達になりたいと…思ってしまうから』
ら「…」
『でもね、あの日少し外歩きたいなと思って、歩いてたんだ。そしたら』
『らんたちと出会ってしまった。そして運命を感じてしまった。昔の私には制御できなかった。』
『でも、そんなに上手くいかなくて』
ら「!」
『ほら、すちいるまなつあたりは私の事無視してたし、らんこさめみことは少し…壁があるように感じて、さ』
『だからね…私…』
『殺そうと…そう思ってしまったの』
『嫉妬してたんだろうね。ほんと…馬鹿みたい…』
ら「…」
『でも…』
『殺せなかった。』
ら「…」
『明日には殺そう…明日には…明日は…って考えれば考えるほど殺せなくなってきて、』
『らんたちと一緒に過ごせば過ごすほど、毎日が楽しくって…』
『…楽しく…て…ﾎﾟﾛｯ』
ら「⁉」
『あ、はは…泣かないように…頑張ってたけど…無理だったな…w(泣)』
私はずっと我慢してきたけど、無理だったらしい。
ら「…ｯ」
ら「…ｷﾞｭｳｯ」
『！？』
するとらんは凄く辛そうな顔をしながら、でも抱きしめてくる彼の温もりは、とても暖かく、優しかった。
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作者名：ルカ | 作成日時：2023年10月6日 22時
