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24話[影山side] ページ25

バレーボール教室。
来てしまった。
でももう終わりの時間だし、来て一体どうするっていうんだ。Aのことも心配だけど、去り際の『しばらく会わないでおくね』って言葉が胸に突き刺さって何となく連絡しにくくあった。



会場の扉に手をかけようとした時。
ガラッと扉が開いた。
あ。


「及川さん、何してるんですか?」

「甥っ子の付き添い。」



むすっとした顔をして、甥っ子さんと会話を続けている及川さん。月曜日は部活が休みらしい。週一で休みがあるとか、信じられない。毎日でもバレーしていたいくらいなのに。及川さんなら今のこの悩みを解決できる、なにか考えを持ってるんじゃないか……そう思って話しかけた。


「及川さん、あの…」

「嫌だね!ばーかばーか!!」



子供か、この人。
でもここで引くわけにはいかないから、「お願いします!話を聞いてください!」と続けた。そしたら「何でわざわざ敵の話を聞いてやんなきゃいけないのさ。」と返ってきた。その通りかもしれないけど、でも本当に俺は引くわけにはいかない!!


「お、お願いしまぁあああす!!!!」


全力でお願いすることにした。それ以外に方法が思いつかなかったからだ。そしたら前方で話し声とシャッター音、「飛雄、及川さんに頭が上がらないの図!」という嬉しそうな声が聞こえてきた。
何が何だか分からないけど、とりあえず話を聞いてくれるみたいだ。



「あ〜、あの。もし大会が近いのに。
えーっと、あ!岩泉さんが無茶な攻撃をやるって言い出したら…」

「ちょっと。
何か相談したいなら下手くそな例え話やめて直球で来なよ。」



やっぱり俺は上手く言葉に出来ないみたいで、注意されてしまった。直球で……うん。



「今までボールを見ずに打っていた速攻を、日向が『自分の意思で打ちたい』って言い出しました。」

「へー、できたらすごいじゃん。やれば?」


簡単に言ってくれる、そう思った。
言ってみて、はいそうですかで上手くいく道があるならこんな考え込んでないというのに。


「そんな簡単に言わないでください!
日向には技術なんて無いんですよ!」




あいつが言うのは、理想論だ。
打てる技術なんてないくせに。
それなのに。
頭の中にまた黒いモヤがかかりだす。



「だから『俺の言う通りに動いてろ』っての?
まるで独裁者だね?」



及川さんの言葉は、俺の深くて痛い部分を抉るように容赦なく襲いかかってきた。

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作者名:灰次 | 作成日時:2019年6月28日 10時

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