ノ ゾ ミ -望編-【ツイステ / レオナ・キングスカラー】

28 ページ28

「なぁ、

…今はどう思ってんだ？」


『え？』



小さな笑みをこぼしたと思ったら、唐突に質問をしてくるレオナ

質問の意味がわからずに顔を向けると、予想以上の至近距離に慌てて顔の向きを戻した



『ｲｯ…』



勢いよく回したせいか、首がゴキリと音をならす

じんわりと伝わる痛みに奥歯を噛み締めて我慢をすると、頬に再び大きな手が添えられた




『昔は"可愛いげのないガキ"

…なら、今はどうなんだよ？』



まるで呪文のように落ち着いて それでいて力を持った言葉は、私の体をいとも簡単に固定して息すらもさせないようにする

かろうじて出来る微かな呼吸に心臓がこれでもかと言うほど高速で動くと、固まったままの私の頬をレオナの手が優しく誘導して顔の向きを変えた



『ｯ』



怒ってるわけでも 楽しんでいるわけでもない

そこには共に過ごした中で初めての表情を浮かべたレオナの顔が視界いっぱいに現れ、
翡翠色の瞳が私の瞳を捕らえて離さなかった



『ぃ、今はもちろん＿＿

「はぐらかすなよ？」



乾いた喉を震わせながら必死にいつも通りの声で答えようとするも、答える前にしっかりと念をおされる



『……ぇっと…』


「なんなら
先に俺の答えを言っても良いんだぞ？」

『だ＿ ダメ!』



適当な答えを探すも、茶化すようなレオナの提案にその時間さえ奪われる


＿＿第二王子である
レオナに言わせてはいけない…



自惚れと思われても仕方がないが
この状況・タイミングで出てくる言葉を考えると、レオナが口にしてはいけない気がして急いで制止をかけた

チラリとレオナの様子を見ると
案の定 不機嫌そうに口を真一文字に結んでこちらを見ている



『その…

ど、どうしたのいきなり』



「…」



駄目元の時間稼ぎが上手くいったのか
考えるように視線を斜め下にうつし、暫く黙りこむレオナ





「馬鹿らしくなった」


『え？』



予想外の返答に私は首を傾げると、レオナは再び私に視線を戻し ゆっくりと話し始めた



「家の事、周りの評価 …そしてお前

今回の事で考えるのが面倒になった」

29→←27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す