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「…なんでお前が泣いてんだ」
呆れた顔でそう言うと、レオナは私の髪をぐしゃぐしゃと雑に撫でる
レオナに言われて 初めて涙を流していると気づいた私は、おもむろに頬に手をそえると 確かに指先に涙の跡が触れた
『あれ… なん で…』
「…ハァ」
久しく流していない涙に軽く混乱をする私に、レオナは小さくため息をついて子供をあやすように規則的に頭をポンポンとする
「そう言えばお前、
昔は泣いてばかりだったな」
『そんな事な_
「帰る時間になる度に俺にしがみついて
おかげで俺の洋服は何着もお前の涙と鼻水だらけになった」
『……』
今更覆されない事実に私は黙りこむと、そんな私を見てレオナは可笑しそうに笑った
「ハッ,ひでぇ顔だ」
そう言うと同時にレオナは私の手を引き寄せ、突然の事に私もまた引かれるがままレオナの腕の中へと倒れこんでいく
「…王妃候補がそんな顔なんざ 国の恥だな」
『ッ… レオナ…』
「さっさとその顔直せ」と言われ、その優しい口調に私は再び涙を流しながら謝った
『レオナ 私ね、あの時逃げ出したの
レオナが怖かったんじゃない
レオナが離れちゃう気がして
もう会えなくなるんじゃないかって……』
心の片隅でいつも揺らめいていた不安の炎
"やだぁぁ、まだ帰りたくないぃぃ…"
"ハァ… また明日も遊びに来ればいいだろ"
『レオナ、また留年したの!?』
「うるせぇな… 関係ねぇだろ」
"もう!歩くのはやい! 待ってよ!"
"ったく …ほら、さっさとしろ"
『ねぇねぇ、レオナ』
「お前、 …もう少し離れて歩け」
幼い頃に繋いでいた手はいつからか離れ
歳を重ねるごとにお互いの距離は開いてく
" レオナ、待って!!! "
先を行くレオナに手を伸ばして駆け寄るも
その背中に触れた瞬間
風と共にそのすがたは消えていく
__私はレオナを見てた?
いつも前を進む背中ばかり見て、
レオナの表情を見たことはあった?
__私が追いかけているのは誰?
それは本当にレオナだった?
締め付けられる心臓に奥歯を噛み締めて叫びたい気持ちを抑えると、私は流れる涙と共に喉につかえていた思いを一気に吐き出した
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蒼空 - るりさん» るりさん♪はいっ!とても感動しながら拝見させてもらってます!るりさんの小説は本当に読みやすくて とても感情移入しながら読んでます!るりさんもお体に気をつけて下さい、これからも心を込めて応援させてもらいます。 (2020年6月4日 0時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 蒼空さん» わたしの作品も読んでくださっているんですか?!すごく嬉しいです…!ありがとうございます。蒼空さんのこちらの作品もわたしの心の栄養です。無理のない範囲で、お体に気をつけながら執筆していただけたら幸いです。改めてありがとうございます!! (2020年6月3日 0時) (レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空 - るりさん» るりさん、はじめまして。とても嬉しいコメントに何度も読み返させてもらいました(笑)好きな小説の作者様に読んでもらえて、そして誉めていただき とても感動してます!これからも頑張ります! (2020年6月1日 2時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 蒼空さんはじめまして。シリーズ一作目から思わず一気読みしてしまいました…登場人物の心情の描写がとても綺麗で素敵です!天真爛漫な夢主ちゃんもとても可愛いです^ ^これからレオナさんとの関係がどう発展するのか気になります…更新頑張ってください! (2020年5月31日 22時) (レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空 - 千広さん» 素敵な応援コメントありがとうございます!楽しんでいただけるよう、引き続き好きでいてもらえるように頑張りますね!千広さんもどうか体調にお気をつけください♪ (2020年5月31日 2時) (レス) id: defa0966a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼空 | 作成日時:2020年5月24日 3時