彼氏欲しいとは思うけど【灰谷蘭】

・21 ページ23

「蘭くん、スマホありがと。とりあえず弟さん来てくれるって。ねぇ、このままソファーで寝てるわけにもいかないから私の部屋行こう。立てる?」

介助しながら立たせて私の部屋に移動する。

ベッドに寝かせ「ネクタイ外すね」と言いネクタイを外す。
「シャツのボタン1つ開けるね」と言いボタンに手をかけると

蘭「……Aさんだいたーん♡このままおそわれちゃうのもわるくないなぁ〜」

蘭くんの右手が私の左手に触れる。
触れた手が熱い。
いつも通りの軽口を叩いているが言葉にキレが無い。
キレが無い分タチが悪い。
『だから!!可愛いんだって!!』 はぁーもうムリ。


空いてる右手で蘭くんのおでこをピシッと叩けば「痛っ」と一言。

「そういうこと言える元気があるなら大丈夫だね!帰る準備しとくね♡」

蘭「……ごめん じょーだん……Aさん病人放っとくの?」

「だってぇ〜今、仕事中じゃないしぃ〜……帰って薬飲んで寝てりゃ治るんじゃない?」

蘭「……ごめんて……怒んないで……」

泣きそうな顔を布団で隠す。

「んふふ、ウソ。大丈夫♡ でもね蘭くん、申し訳ないけどウチで看病出来るのは明後日までなの。実は潤が年明けに入試控えてて、私も竜樹も体調には気遣ってんのね。潤は明後日まで息抜きで友達の家に泊まりで行ってるけど、居ない間だけ蘭くんの看病するってことで話してるから……それに私も明日は仕事休みだから大丈夫だけど明後日から仕事だから……ごめんね」

蘭「……んーん。こっちこそ……そんなこと知らずに迷惑かけてごめん……」

布団から顔を出し申し訳なさそうに言う。



竜樹「ただいまー」

ばぁばの家から帰ってきた竜樹を出迎えに行こうとすると手を掴まれ心配そうに見つめられる。

手を握り返し、横たわったせいで乱れた髪を優しく撫でながら「大丈夫。竜樹におかえりって言ってくるだけだから。弟さん来るまでちょっと寝てな?」と言えば「ん……」と言って蘭くんはそのまま目を閉じた。

・22→←・20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す