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つい、素っ頓狂なことを尋ねてしまった俺に、彼は目をパチクリと開いた。
神「や、やっぱり、シャーロック・ホームズみたいにいろんなことが分かるからですか?」
気恥ずかしさから、勢いで話を続けてしまう。
すると彼はとても楽しそうに、目を弧の字に細めた。
流「......そうですね。君が大木高校の生徒で、だけど元々は関西人ではなく関東の人間だということ。京都に移り住んで半年くらいでしょうか。この店に来たのは鑑定してほしいものがあるから。だけど、その品物は自分のものではない、ってことくらいは分かりますが」
神「す、すごい」
スバリと当てられて、目と口が開いた。
流「そのくらいは、誰にでも分かりますよ。君の制服は大木高校のものですし、言葉のイントネーションが関東ですから」
ハッとして自分の姿を確認した。紺のブレザーにチェックのズボン。
そうだった、今は制服姿だ、間抜けすぎる。
神「で、でも、移り住んで半年くらいってどうして分かるんですか?」
流「それはなんとなくの勘です。引っ越して来たばかりという感じもしないし、かといって、しっかり馴染んだという感じもしない。となると、去年の夏休みに引っ越して来たのかなと」
まさにその通り。去年の夏休み明けに、今の高校に転入した。
そうして、半年。今は3月だ。
神「それじゃあ、鑑定してほしいものが、自分のもとではないっていうのは、どうして分かったんですか?」
流「ここで鑑定するようなものを高校生が持っているとは思えないですしね。となると、お祖父さまかお祖母さまのものと思うのが自然です。何より、自分のものではないから鑑定してもらうのにためらいを感じている。ーーーー違いますか?」
言葉が出なかった。
......誰にでも分かるなんて言ってたけど、普通こんなふうに分かるものなの?
ううん、そんなことない。
これが「ホームズ」と呼ばれる所以なのかもしれない。
流「だけど、君はお金を必要としていて、背に腹は代えられない状態です。だから、許可も取らずに、それを勝手に持ち出した。といったところでしょうか」
今度はバクンと鼓動が跳ねた。
神「ど、どうして」
分かるんですか? 最後まで言葉が出ない。
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