98.せんせい ページ48
伊野尾.
『ねぇねぇ高槻先生、聞いてる？』
伊「……なに、Aドラマ見てくれてんの？」
『うん。めっちゃマイブーム。ネタバレしないでね』
伊「しねーよ」
俺の隣に座って、楽しそうに笑うA。我がグループでも随一の演技力を誇る彼女が見てくれているなんて、照れを通り越して最早不安を感じる……ダメ出しされない？俺。
そんな心配は不要だったのか、Aはひたすら「高槻先生かっこいい」「ああいう雰囲気好き」と褒めちぎってくれるばかりで。
伊「A、ああいうのが好きなんだ」
『怖い話とか好きじゃん？毎回楽しいよ〜』
伊「……そぉ」
『深町くんにも連絡したよ、面白いね〜！って』
伊「コミュニケーション能力高すぎない？接点あったっけ？」
「ない！」と言い切るAは、屈託なく笑う。
確かになあ……Aはこういう子だった。周りの後輩からは物凄く憧れられてるくせに、いきなり声をかけたりして困らせるタイプ。連絡先だって、音楽番組なんかで会ったときに交換したんだろう。
『私も大学に高槻先生いたら、民俗学とったな〜……絶対面白いじゃん』
伊「Aが民俗学勉強してるのって中々イメージ湧かないんだけど」
『うん、私も』
へら、と笑ったAは、「やっぱり高槻先生かっこいいって〜！」とクッションを抱き締めた。……あのね、一応俺が演じてるわけよ。全くの別人だけど、元々は俺なんだからさ。そこんとこ分かってる？
そんな複雑な感情を抱きながらも、ご機嫌なAの横顔を眺める。
『まあね〜、慧が高槻先生だからハマったんだろうね。私も』
伊「……ふーん」
『ふふ、これからも感想言いにくるね！』
……なんて、Aはこういう子だったなあ。可愛いやつめ！
.
私も高槻先生がいたら学校生活頑張れるのに…なんて思ったので、Aちゃんに代弁してもらいました(笑)
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