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27. ページ27

琉巧.



琉「ほら、俺で目隠ししといたら?ちょっとはマシにならん?」




何か抱き締めてるみたいな体勢やけど、背に腹はかえられへんし。

Aちゃんを俺の方に向き合わせて、耳を塞ぐ手に俺の手を重ねた。1枚より2枚の壁の方が、多少は防音効果も増すやろう。ひどく冷え切った手は見た目よりも小さく感じられて、庇護欲のようなものが刺激された気がする。

いくら年上の先輩でも、女の子やから。悪い意味じゃなくて、当たり前に守ってあげたいと思ってしまう。Aちゃんは嫌かもしれんけど。




『……るうく、なんかおっきなった?』

琉「え?」

『めちゃくちゃほっとする、』

琉「……ほんまに?」




例えば、Aちゃんはこんなとき、大抵西村くんに甘える。それかふうさんかな。同期の絆に敵わへんのは最初から分かってたけど、それを抜いたとしても年下の俺には頼ってこおへんから。

やからこそ真意は分からずとも、単純に「ほっとする」なんて言葉に嬉しくなってしまった。




琉「もっと頼ってくれてもええってことやな、それは」

『……ふふ、うん。そうやな?』

琉「物理的にも精神的にも、伸び代あるで」

『なんやのそれ』




おかしそうに笑ったAちゃんは、俺の顔を覗き込んだ。

その表情からは不安や恐怖を感じることはなくて、俺まで励まされるようだった。だって、俺でもAちゃんを笑わせられるんやなあって確信が持てたから。

大切な人を守れるんやって、ちょっとでも思えた。




『……じゃあ、よく耐えましたってことで、ご褒美くれる?』

琉「ごほうび?」

『よく頑張りましたのハグとか……』

琉「急にやかましなったな」

『……あかんの?』




上目遣い、ほんまにやめてほしい。

……Aちゃんは、スキンシップが好きやと思う。簡単に言うとハグとかそういうやつ。でもほんまに気を許した相手にしかしないし、もっと言うとメンバーくらいやから、まあ見てて不安にもならへん。

でもそれは裏を返すと、メンバーに物凄く心を開いているというわけで。開いてるというか、預けてるみたいな?


「しゃーなしな」と呟いた自分の声は掠れていて、Aちゃんに届いたかどうかは分からへんかったけど。

その分力を込めて抱き締めてみると、彼女の腕が俺の背中に回された。




『……ふふ、るうく、あったかい』




こんなに可愛いなんて、ほんまに勘弁してほしい。

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作者名:流星 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sst__05  
作成日時:2023年3月14日 1時

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