りとるプリンセス《 Lil かんさい》 (ページ13)

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13. 大人の階段ページ13

小島.

佐「Aちゃん、めっちゃちびちび飲むやん」

小「A、そんな一口くらいでどうこうならんから」

『うーん、でもこわいんです……』

小「……かっわえ、なんやこいつ」

佐「小島くん小島くん、全部声に出てるから」

だってほんまにかわええんやもん。あまりの可愛さにもんとか言うてもうた。あかんあかん、落ち着かな。

この世に間違えて生まれてきた天使なんちゃうか？とか、実は斗亜と血繋がってたりするんちゃうか？とか、まあそんなことを思うくらいには可愛いAが、3月の終わり、ついに20歳の誕生日を迎えた。

早生まれやから、周りよりかなり遅いのも可愛いポイントやな。

初めてのお酒は家族と一緒に飲むんかなあ、そんなことを思っていたら、「小島くんと晶哉くんにお願いが……」なんて呼び出され、冒頭に戻る。

佐「でもさ、拓哉くんのためにお酒に慣れときたい〜って、また不思議な理由やね」

小「言うて1ヶ月しか変わらんのやろ？拓哉も分かってると思うけどな」

『そうなんですけどねえ……ほら、一応年上やし。頼られたいってのはあるかもしれません』

佐「……相変わらずイケメンやわあ、Aちゃん」

『へへ、そうかなあ？』

あかん、キュンキュンを超えてギュンギュンが止まらへんわ。

Aはりとるの最年長やから、普段はこんな風に笑ったりしやんらしい。琉巧に聞いた。斗亜も不満そうやったなあ、やっぱり弟扱いっていうのは嬉しくないっぽい。

いたずらっ子みたいな、そんな子供らしい笑顔のAを見てたら、一生懸命お姉ちゃんをやろうとする健気さに泣きそうになる。最年長って、そういうことなんかな。

決して弟や妹がおるわけでもない、ましてや現実では一人っ子のA。どこで覚えたんやろうか、お姉ちゃんのなり方。

小「まあでも、ゆっくりとはいえ晶哉より飲めてるから大丈夫やろ。普通に居酒屋で一杯、とかやったら余裕やな」

『ほんまですか！？』

佐「悔しいけどな、ほんまに飲まれへんかったらそれだけでもあかんよ。俺みたいに」

『晶哉くん、確かに全然飲んでないもんなあ……』

Aの方が先輩やから、晶哉との関係性は不思議な感じで。

最近でこそやっとタメ口に慣れたけど、呼び方は変わらんし。AもAで、後輩とはいえ年上やから、呼び捨てにはできひんらしい。

そんな2人を見守るのも、実は結構楽しかったりするで。