りとるプリンセス《 Lil かんさい》 (ページ14)

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小島.

『んあ〜……楽しみやなあ、みんなとお酒飲むん』

佐「夢やって言うてたもんなあ。斗亜たちと乾杯するの」

『うん……みんな、ほんっまに、大きくなったから』

小「……それは俺らのセリフやけど」

佐「んは、間違いないな」

俺らにとってはいつまでもちっこい妹のAが、華奢なグラスに注がれた甘いカクテルを煽る姿なんて、数年前は想像もできひんかったのに。

ほんのり赤くなった頬に手を添えて、「お酒飲むとあったかくなりますねえ」なんて笑うAは、どこからどう見てもお姉さんらしくなっていた。

小「……Aが大学卒業したら、俺絶対泣くわ」

佐「うわ〜、想像できるんよなあ。正門くんも泣くやろ」

小「まっさんもやばいな」

『ふふ、卒業式、来れたら来てくださいね？』

小「……そんなん、予定こじ開けてでも行くわ」

『そっかあ、へへ、やったあ……』

とろんとした瞳を見てすぐ分かるくらい、ええ感じに酔ってきてるんやろう。眠そうやし、この場に寝かせたらすぐ眠りにつきそうなくらい出来上がっとるな。

いつまで、こんな風に会えるんやろう。くだらんことで笑い合って、すぐに会える距離におれる毎日は、あとどれくらいなんかな。

ええことのはずや。忙しすぎて会われへんくなるのは、ほんまは。

小「……分かってるけど、寂しいなあ」

佐「小島くん、また口に出てるから」

小「もう寝てるやろ、A」

佐「……ほんまやあ、赤ちゃんやん」

Aが大学を卒業する頃、俺は今みたいにAのそばに飛んでくることができてるんやろうか。

脳内では、Aのメンバーカラーであるピンクの花束を持って、スーツでカッコつけて……ありえんくらいバチバチに決めた俺が、袴姿のこれまた世界一可愛いAを迎えに行く、そんなイメージが湧いてるのに。

ほんまにそんな未来が存在してくれるんか、それすらも分からへん。

全てがいい方向に向かいつつあるのは分かってる。大事なのは俺らがそれにどう応えるか、であって、結果は後からついてくるものでしかない。

小「……ずっとそばにおりたいなあ、出来れば」

佐「…………小島くん、実は結構酔ってるでしょ？」

小「あほ、そんな飲んでへんわ」

どんどん大人になるAを、俺はいつまで兄貴面をして見守ることができるのか。

考え出すと何だか切なくなって、そんな答えの見つからない問いを、ハイボールで腹の奥に流し込んだ。