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琉巧.
小「待たせてごめんな、知り合い？」
『え！……あ、全然、今初めましてしました……』
小「やんな、ごめんほんまに。行こか」
小島くんのことを彼氏やと勘違いしたのか、さっきまでおった2人組はあっという間にどこかへ消えていた。敢えてAちゃんにしか声をかけないスタイルが良かったのか、特に揉めることなく解放されたと思う。
そのまま邪魔にならないように端へ寄った2人に駆け寄ると、Aちゃんは俺を見てさらに目を丸くした。
『琉巧もおったん……！ごめんなさい、変なとこ見せちゃって』
琉「いや、そんなん何も……大丈夫ですか、怪我とかは、」
小「ほんまに、何もされてへん？もっと早く助けられたら良かったな」
『声かけられてただけやから！ほんまに！……ていうか普通にナンパされてるのが問題ですよね、顔見ても気付かれへんかったか！』
小「アホ、怖かったら怖かったって言うてええねん。誰もそんなことで怒らんから」
『へ、』
無理して笑うAちゃんの頭を、小島くんはわしゃわしゃと優しく撫で回した。
やっぱり敵わへんわ……男として、小島くんの対応は完璧やった。下手に騒ぎにせえへんように気遣って、Aちゃんのためにも静かに終わらせられるようにしたんやと思う。
『……すみません、ほんまは怖かったです。めちゃくちゃ助かりました』
小「おん、こんなんいつでも助けたるわ。お前が可愛いのはもうしゃあないんやから」
頭では分かってたのに、何もできひんかった。俺にできたとして、弟のふりかも……こういうとき、年下って嫌やなあ。
情けないことを考えていると、Aちゃんは俺の方を見て優しく微笑んだ。
『琉巧もありがとう、顔見たらほんまにほっとした！』
琉「いやそんな、俺は何も、」
『助けようとしてくれてたやん、ありがとうなあ』
Aちゃんはこう言ってくれるけど、俺は悔しいままで。
今すぐにとは言わんから、いつか俺もAちゃんのヒーローになれますように。もちろんスーパー付きの、どこへでも飛んで行けるような、そんな男に。
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年3月14日 1時
