9. 見習いスーパーヒーロー ページ9
琉巧.
小「あ、Aや」
琉「え？……ああ、雑誌の、」
小「ほんまにかわええな、何この格好」
琉「小島くん好きそうやな」
ダボッとしたトレーナーに身を包んで、ニット帽を被ったAちゃん。いつもやったら下ろされてるはずの前髪は分けられとって、毛先はくるっと巻かれてる。
ファッション誌に掲載されるって話は聞いてたけど、もう見れるんや。今日の帰りにでも買って帰ろかなあ……俺も読みたいし、何よりうちの家族も喜ぶから。
小「最近な、Aにめちゃくちゃお願いしたら健くんって呼んでくれんねん」
琉「……職権濫用ちゃいます？それ」
小「なあんでや！ええやろ、好きやねんから。あいつも俺のこと好きやし、相思相愛やで」
琉「……愛の種類がちゃうな」
今日は小島くんとお買い物。いつも通り色んな話をするけど、その中でもやっぱり斗亜とAちゃんの登場率がダントツで高い。
めっちゃおもろいし好きになる理由も分かるからええけど、やっぱりAちゃんは女の子やから、大倉くんにガチの接近禁止令を出されたことはある。
小「Aさ、今日オフって言うててんけど」
琉「あー、そうですね。大学の友達と遊ぶって聞いたな」
小「男ちゃうよな？」
琉「ちゃうちゃう」
Aちゃんに変な男が寄り付かんかめちゃくちゃ心配してるし、やっぱりお兄ちゃんなんよなあ。
そんなことを考えながら顔を上げると、2人組の男の人に絡まれているっぽい女の人が目に入った。
琉「うわ、ナンパかな」
小「あれ絶対嫌がってるやん、……ん？」
琉「小島くん？」
思いっきり顔を顰めた小島くんは、女の人のことをじっと見つめると、「あれAちゃう？」と俺の顔を見やる。
よくよく見てみれば、Aちゃんっぽいラフな服装に、最近お気に入りらしい大きな黒縁メガネ。どこから見ても分かるくらいに困ったような表情は、俺らには見せへん愛想笑いで。
小「緊急事態や、琉巧が証人になってな」
琉「へ？」
小「変な噂流されたら頼むで」
琉「あ、ちょ、小島くん！」
小島くんは、さっきまで深く被っていた帽子を脱いだかと思えば、そのままAちゃんの元へ。
しつこく声をかけ続ける2人組を牽制するかのように、Aちゃんの肩を抱き寄せるもんやから、何か悔しいけどめちゃくちゃ絵になって……斗亜やったら拗ねそうなくらい、ほんまにお似合いやった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 845人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年3月14日 1時
