53. 黎明 ページ3
貴方.
『……正門くん、』
正「ん？」
『手、繋いだらあかん……？』
正「……え」
『ごめん、滅多に会われへんと思ったら……繋いでほしくて、』
彼となら、沈黙も苦ではない。だけれど、やっぱり無性に触れたくなってしまった。多くは望まないから、少しだけ手を繋いでいてほしい。次はいつ会えるんだろう、そんなことを考え始めると不安でたまらなくなった。
「だめかな」と重ねて聞けば、正門くんは穏やかに笑って、「ええよ」と私の手に触れる。
当たり前のように指が絡まって、所謂恋人繋ぎの状態に。ぎゅっと力を込めたり、その力を緩めたり。繋いだ手をまじまじと見つめる彼は、「ちっさい手やなあ」と呟いた。何かそれ、前も言われたような気がする。
「正門くんが大きいだけちゃう？」と返せば、「ギタリストやからなあ」と楽しそうに笑った。
正「……A、何か色々順番前後しちゃってんけど、多分今言っとかないとあかんから、言わせてもらうな」
『あ、うん……？』
正「さっきも言うたけど、俺はAのことが好きやねん」
『……うん、わたしも』
正「はは、ありがとうな」
空いた方の手で、私の髪を耳に掛けた。ありふれた仕草だったけど、彼がやるとどうにも大人っぽく見えて困る。今から何されるんだろう……なんて、次を想像してしまうから。きゅっと唇を噛み締めれば、正門くんは私の緊張すら想定内なのか、親指の腹で唇の端を撫でた。
正「……俺のこと、Aの彼氏にしてくれる？」
大人になると、こういうことは改めて口にしないと、どこかで聞いたことがある。言ってしまえば、一歩進んだ関係性になってから……空気を読むように、「恋人同士になったのか」と察するらしい。皆が皆そうではないと思うけれど、世間一般的に「付き合ってください」「お願いします」というやり取りをする人は少ないんだろう。
それでも、何もかも不慣れな私に合わせた、彼なりの優しい告白だった。全てを私に委ねて、私が決められるように。もちろん悩むまでもなく、即答できるものだった。
『……うん。私のことも、正門くんの彼女にしてください』
嬉しそうに目を細めた正門くんは、「大切にする」なんて呟いて、そのまま私を強く抱き締めてくれた。
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流星(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん、コメントありがとうございます(^_^)本当ですか！嬉しいです〜！中々詳しくは書けませんでしたが、ちょっとだけリアクションも書いてみたのでお楽しみください(^_^) (2022年9月12日 22時) (
レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新ありがとうございます！！誌面見たメンバーの反応とから色々想像してしまいました…！！もうすごいリアルできゅんきゅんしてます！ (2022年9月3日 7時) (レス) id: 65e54d60d7 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - 永瀬れみさん» リクエストありがとうございます！承知いたしました(^_^)更新いたしますので、暫くお待ちくださいね！ありがとうございます(^_^) (2022年7月12日 23時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
永瀬れみ(プロフ) - いつもドキドキしながら読んでます。リクエストお願いできたらと。ストーカーか襲われそうになるシーンみてみたいです！正門くんなかなか連絡つかない感じで。もしできたらお願いします！ (2022年7月7日 5時) (レス) id: 6b11212a22 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - ふうさん» ふうさん、コメントありがとうございます！そして本当にたくさんのアイディア、助かりました…（ ; ; ）意味もしっかり捉えつつ、少しでも良いお話が書けるよう頑張ります！これからも応援よろしくお願いいたします！(^_^) (2022年6月25日 16時) (レス) @page29 id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2022年6月1日 1時
