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貴方.
『……わたし？』
震える声でそう確かめれば、正門くんはにっこりと微笑んで頷いた。……え？いつの話？そんな素振り一度も見せたこと、……いや、ないことはなかったのかな。私が彼の優しさを当たり前だと思いすぎて、それが特別なものだと考えたことがなかった。
理解した途端に熱くなる顔を両手で覆うと、彼は小さく息を吐いた。「やっとや、ほんまに」なんて、そんなの私こそなのに。
……とは言え、今分かったのは初恋の話だけで。何も今も好きと言われたわけじゃないし、喜ぶにはまだ早い。この何とも言えない気まずい空間から逃げ出したいというのも本音だし……とりあえずお手洗いにでも行こうかな。
いや、でも、今そんなことするのも変かな……？何もできずに固まっていると、私のスマホが鳴る。
『あ、』
正「出た方がええよ、仕事やったらあれやし」
『うん……ごめん、……て、大ちゃんやん』
正「大吾？」
目を丸くさせた正門くんに頷いて、大ちゃんからの着信に応える。「もしも〜し」なんて、いつも通りの彼の声に、今はひどく安心した。いや、もう、今すぐ助けに来てほしいねんけど……何で今日仕事なん？ほんまに。
『もしもし……どうしたん？』
大「いや、明日の仕事のことで……てか今正門とおる？おるならスピーカーにしてほしいねんけど」
『うん？分かった、』
正門くんに目配せをしてから、スピーカーモードに切り替える。音量を調節していると、「明日のロケやねんけどさあ」と話し始めた。仕事のことなら私だけで良いはずやのに……どうしたんやろ。頭にハテナを浮かべながら、大ちゃんの次の言葉を待つ。
大「ちょっと色々スケジュールの問題で中止になってさ。また別日に撮ることになって……って言うのを連絡するつもりが、遅くなってごめんなあ」
『ああ、何だそういうこと……ありがとう、了解です』
大「ほんでまあ、明日夜のラジオまでオフやろ？」
『……うん？せやね、一応』
大「もうここまで来たら泊まってきたら？って、」
「終電やと危ないし」なんて、もう23歳にもなる私にそんな心配する……？と思いつつも、この時間から実家に帰るのも中々に億劫だ。ホテルを取るにしても面倒だし……
大「Aの実家遠いやん？もう正門に泊めてもらいーや！」
『……は？』
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