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貴方.
佐「……あ、でも正門くん、こっち来ますよ！」
『へ、』
小「おもろなってきたやん、ほれ」
『ちょ、やめ、押さんとって！……小島！アホ！』
小「どさくさに紛れてアホって言うな」
さっき言うてきたくせに……！と、そんな恨みを頭の中で爆発させながらも、小走りでやって来た正門くんと顔を合わせる。彼の少し後ろには大ちゃんがいて、私に向かってピースサインを作ってみせた。それだけでもう、全てが大ちゃんの仕組んだことだって分かるし……
私からの感想を待っている、とでも言いたげなほどニコニコ笑顔の正門くん。感想伝えるくらいならええよな……うん。きっとそうや。意を決して「お疲れ様」と伝えれば、嬉しそうに頷いた。
正「うん、ありがとう。見に来てくれてほんまに嬉しかったで」
『そりゃ来るよ、大事な舞台なんやから……やっぱりほんまにギター良かった。メドレーも、正門くんやなあっていう雰囲気で』
正「ほんま？Aが後輩やったら俺のとこ来てた？」
『……それは誠也くんかも』
正「なぁんでよ！」
はははっ、といつもの笑い方をする正門くんは、この前と違って触れてはこない。皆が見ているからかもしれないけど、少し物足りなく感じてしまう自分に、またひっそりと自己嫌悪……ほんまは毎日でも会いたいよ。手とか繋ぎたいし、また抱き締めてほしい。いつからこんなにワガママになったんやろうか。
正「A、次いつ大阪戻ってくるん？」
『え？……あ、えっと、いつやろ。大ちゃん分かる？』
大「何で俺やねん、……あーでも、正門のソロコンは来たい言うてたやろ？調整したらそれくらいには来れるんちゃう？」
『あ〜……ほんまや。そのくらいなら普通に帰ってこれるかも、』
大「無理やりにでも時間作りや、それは」
この仕事をしている以上、絶対なんて約束はできないけれど。次に会えるとしたら、正門くんのソロコンが開催される春ってことか……それくらいの時期には、もうちょっと強くなれてるかな。どうだろう。
正「うん、分かった。じゃあその日、ちょっとで良いから俺に時間くれる？」
『……へ、』
正「話したいことあんねん、Aに」
『え……それって、今じゃあかんこと？』
いつもの笑みより、少しずるいような、試すような瞳で私を見つめる正門くんは、「その方が俺のことずっと考えててくれるやろ？」と首を傾げた。
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