動き出せ、初恋《 Yoshinori.M 》 (ページ5)

今日:201 hit、昨日:183 hit、合計:245,234 hit

5. 異変ページ5

貴方.

道「Aちゃん、また勉強してる」

長「受験生やもんなあ」

高「あんま邪魔せんとこ」

私の手元を覗き込んで、コソコソと会話をするトリオたち。初めてここまで後輩と仲良くなったから、私的には可愛くて仕方がない。あんなに小さかったのに、成長スピードがとんでもなく早いし……目を離していたら、あっという間に大人になってしまうんだろうか。それはちょっと寂しい。

幸いにも、受験勉強はそれほど立て込んでいなかった。参考書を閉じて三人に向き合えば、彼らの表情がぱあっと明るくなる。……あ、でもすぐに暗くなった。何でや。

道「ごめんなさい、邪魔しちゃいましたか？」

『ちゃうちゃう、たまには三人と話したいなと思って！知っとる？Aちゃんってば結構頭ええんやで？』

長「ほんまですか？でもずっと勉強しとるもんなあ」

高「俺、歳変わらんけど全然勉強しとらんし……」

『まあ勉強は大切やけど、受験しやんならあんま深く考えんでええよ』

茶化したように笑って見せれば、三人の表情がまた明るくなった。

どちらかと言えば、みっちーは昔の方が子供っぽくて明るくて、いつでもどこでも「Aちゃん！」と走ってきてくれた。逆に謙杜と恭平は静かな方で……こっちから声をかければ、照れたように笑って駆け寄ってきてくれる。あ、でもまだこの頃は長尾くんと高橋くんって呼んでたんかなあ。

道「そうや、もし今時間大丈夫やったら、ダンス教えてもらってもいいですか？」

『お、ええよ。私に教えられるところなら！』

長「Aちゃんが一番聞きやすいんですよね、」

道「ほんまに優しいもん、Aちゃん」

『え〜、照れるなあ……高橋くんもそう思う？？』

高「……まあ、そうっすね」

照れたようにはにかんだ高橋くんは、「Aちゃんなら安心やから」と呟いた。

可愛い後輩たちに頼まれたら、断る理由なんてないわけで。必死に食らいついてきた5年近くの日々が報われてきたのか、私のダンスや歌は周囲から認められつつある。それこそ、歴の長い丈くんや末澤くんからも褒められることが増えた。

数日後のライブでは、ほんの一瞬ではあったけれど、センターに立つことが叶った。ドキドキとうるさい心臓を押さえつけながらステージに立って……それでも楽しくてたまらなかったことを、今でも鮮明に覚えている。