動き出せ、初恋《 Yoshinori.M 》 (ページ22)

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22. 報告ページ22

貴方.

『はぁ……やっぱ私、お酒強くないんかなあ』

大「何言うてんの、あんまりグイグイ行かれても困るで？それくらいが丁度ええよ」

正「楽し〜く飲むのがええんやって、A」

『何か腑に落ちひん……』

もはや安定のメンバーで飲み会。成人したとは言え、そんなに人と飲むこともない私にとって、二人とお酒を飲むこと＝自分の限界を知ること、になりつつある。調子に乗って頼んだハイボールでふわふわしてきた辺り、やっぱりそんなに強くないんやろうなあ……

ほんのり顔は赤いけれどまだまだ余裕そうな正門くんと、一杯飲んで目がとろんとしてきて、「もうやめる」とスパッと諦めていた大ちゃん。

『……でもあれやな、今日何か二人ともペース遅ない？』

大「お、気付いた？」

『そりゃ気付くって！どしたん、明日朝早かったりするん？』

正「ん〜……それよりもっと大切な話かも、しれへんな」

ビールの入ったジョッキを置いた正門くんは、「報告がありまして」と姿勢を正す。落ち着いた雰囲気の個室居酒屋だから、より彼の声がハッキリと聞こえて、なぜだかこちらまで背筋が伸びた。

『え……何やろ、怖いねんけど……ええ話、よね？』

大「もちろんそうよな、正門」

正「多分Aは喜んでくれると思うんやけど、」

『えええ……怖いなあ』

ドラマ？映画決まったとか？正門くんやったらどんな作品でも合いそう……なんて、恐らく良い知らせであるそれに想いを馳せていると、珍しく緊張した様子の彼が、「実は」と口を開いた。大ちゃんはもう知っているのか、穏やかな笑顔で私たち二人を見つめている。

正「……グループを組むことになりました、」

『え……？』

正「メンバーにはこじけんと晶哉もおって……」

たいちぇ、末澤くん、リチャくん……嬉しそうな顔をして彼らの名前を呼ぶ正門くんは、「やっと言えた」と安心したように息を吐いた。

許された、って言ったら変だけど……どこか罪悪感を抱いていた私にとって、嬉しそうな正門くんを見られたことが、何よりも嬉しい。これからは彼を支えてくれる人が増えて、もっと言えばホームができたわけで。そんなの、嬉しくないわけがない。

これでようやく一緒にスタートラインに立てた。いつまでも燻っていた私が、正門くんの隣に並べた瞬間だと思う。