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貴方.
『……おめでとう、ほんまに、』
「おめでとう」と繰り返した声は、自分でも分かるくらいに震えていた。目頭が熱くなって、ちゃんと我慢していないと泣いてしまいそうだった。
声と同じように震えている手を押さえつけると、その上から手が重ねられる。正門くんの、そして大ちゃんの、大きくて優しい手だった。……ここまで来たらもう我慢なんてできなくて、視界が歪み始めたと思ったら、頬に涙が伝っていた。
大「……良かった、ほんまに。ほんまに良かった……A、ずっと気にしてたもんな、」
正「それは俺も感じとった。不安そうな顔させてんの、もしかして俺のせいちゃうんかなって」
『正門くんは、何も悪くないよ……ただ不安で、怖かっただけで、』
正「……うん。Aのこと支えてあげられるんは、もう俺ちゃうんやなって思ってた」
これからはもう、それぞれ違う場所で頑張るしかないけれど……お互いに一人じゃないことを思えば、前より幾分か晴れやかな気持ちでスタートを切れそうな気がした。
それにしたって涙が止まらなくて、二人の手の温もりに縋ってしまう。いつまでも落ち着かない私を見兼ねた大ちゃんが、「もう一回ハグしとく？」なんて白々しい提案をしてきた。
『な、んやねん、それ、』
大「いやボロッボロやん、あんた……なにわ男子結成のときより泣いてるし！」
正「はは、ほんまやなあ……何かもう懐かしいわ」
『そら泣くやろぉ、……ううっ』
大「はいはい、いくら成人してもまだ赤ちゃんやから……正門、ぎゅってしたって」
『何かもうそれお決まりみたいになってるん、嫌やぁ……』
気付けば、真向かいに座っていたはずの正門くんが隣にいて。さっきまで少し赤い顔をしていたくせに、今はもう優しくて余裕のある顔をしているように見える。それだけでさらに泣けてしまうものだから、もう何が何だかよく分からない。
「A」と名前を呼ばれたかと思えば、ぽんぽんと頭を撫でられる。
正「今は俺がAのこと抱き締めたいなって思ってんねんけど、」
『……う、ん』
正「あかん？」
ダメなわけがないのに、正門くんは本当にずるい人。小さく控えめに首を横に振れば、両腕いっぱいで優しく抱き締められる。「ありがとう」と繰り返す彼に、また涙が零れ落ちた。
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