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貴方.
正「……A、やっぱちっちゃいなあ、まだまだ」
『やからもう子供ちゃうって』
正「ちゃうやん、可愛いなって話よ」
「すっぽり収まってんで」なんて、後頭部に手が添えられる。確かに……自分が小さいのは認めたくないけれど、さして大柄ではない正門くん相手で、ここまで収まりが良いと認めざるを得ないのかもしれない。
今はアルコールも入っているし、どちらかと言うと非日常みたいなもんやし。そんな言い訳を付けて、彼の胸元にくっついた。
正「……ほんまにかわええな」
『…………明日には忘れてるし、ええかなって』
正「忘れてなかったときが悲惨やでえ、それ」
『そのときはそのときや』
いつの間にか席を外してくれていたらしい大ちゃんに気付いているのか、正門くんはいつもよりグイグイな気がする。二人っきり……って、もしかして結構やばい？それこそ経験が少なすぎる私からすると、男の人と二人きりってのも、仕事以外やと滅多になくて。
意識した途端にうるさくなる鼓動に気付かれたくなくて、ほんの少し距離を取ろうとした。……けれど、そっと腰に腕を回されて、逃げ場をなくす。
正「……あかんよ、逃げんとって？」
『に、……逃げてないよ、そんな、』
正「ほんま？……ほら、もうちょっとだけ、」
『……何か嫌やな、正門くん。絶対慣れてるやん』
正「……どうやろね」
「そう見えるんかな」と呟いた彼は、否定も肯定もしない。まあ、そんなのよく分かってたし……私より二年分大人だし、何よりも雰囲気から伝わってくる。今になって「まっさんってモテるんやで」という小島の声を思い出してしまって、少し気まずい。
そんな人じゃないことは分かっているけれど、正門くんになら遊ばれてもええんかなあ……とか、ダメな考えが頭を支配してしまう。
正「まあ……前にも言うたけど、俺がこういうことするのは、Aだけやから」
『……だからそれどういう意味なん？』
正「今は好きに解釈しててくれたらええよ」
『そういうの苦手やねんなあ……』
ゆっくりと私から離れた正門くんは、ふっと余裕たっぷりの笑みを浮かべる。普段の私なら恥ずかしくて爆発してしまいそうだけど、今はお酒の力を借りているから、何とか耐えられそうで。
正「……もっと俺のこと考えて、困ってくれたらええよ」
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