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貴方.
正「大吾！……Aは？」
大「ん、ここおるよ。……A、正門来たで」
『正門くん……』
正「どぉしたん、……目真っ赤やで？どっか痛いん？」
大ちゃんによって近場の公園にやって来た私は、夜風に当たりながらブランコを漕いでいた。ただ何をするでもなく、何も考えずに揺られる時間が心地よくて……流石に涙は乾いていたけれど、正門くんの登場で、また視界が歪み始める。
涙って、案外枯れへんもんやねんなあ。今日ばかりはもう一生泣かれへんかも、ってくらい泣いた気するのに。
正「……あ、二人ともおめでとうな。なにわ男子って言うんやっけ、グループ名」
大「おん、ありがとう。ストレートな名前よなあ」
正「確かにな(笑)でもええやん、なにわ男子」
「すぐ分かるで、関西って」
屈託のない笑顔で、優しくそう言ってくれるものだから……なぜだかまた泣けてきてしまって、何も知らない正門くんは困ったように眉を八の字にさせる。大ちゃんは若干呆れたように笑ったけれど、「しゃあないなあ」と私の背中をさすった。
大「Aめっちゃ不安やねんて。グループになって、これからやっていくのが」
正「あ〜……そうやったんか。それは怖かったな、色々考えちゃって」
『……う、……そ、んな、ちゃう……』
正「我慢せんでええって。吐き出してええよ？俺たちには」
大「ほんまやで。……やからまあ、慰めたって？ぎゅってしてあげたら元気出るんちゃう、流石に」
『……へ、』
大ちゃんは関西きっての演技派なのに、今はへったくそな演技で正門くんに話しかけている。彼も彼で素直で優しい人だから、「え、そうなんかな……」なんて顔をしているし。取り残されているのは私だけのようで、これから起こるかもしれないことに頭の中を支配される。
泣きすぎて上手く話せない私の前に、正門くんがやってくる。
正「えーっと……こんなんで元気出るとは思われへんけど、ハグにはストレス軽減効果もあるし」
大「うんうん、そやな」
正「……A、えっと、嫌やったら突き飛ばして？」
ふわりと香る、恐らく正門くんの家の柔軟剤の匂い。さっきまでは悲しくて仕方なかったのに、何だかチグハグな、不恰好なハグに少し笑えてくる。笑えてくるのに、それでも涙は止まらないから困った。
大好きだよ、本当に。……そんなことは言えるはずもなく、代わりに涙が溢れ出した。
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