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貴方.
『……あ、えと、……ごめん、いきなり。でもこれは嘘じゃないっていうか……！心の底からの本音だから、その、』
なんてタイミングで告白してるんだろ……大慌てで付け足すけれど、肝心の本人のリアクションはなし。ただ唇をきゅっと真一文字に結んで、私を見つめるだけ。それも何となく焦点が合わなくて、一向に目が合わない……ああ、もしかしてやってしまった？
『嘘じゃないけど、今すぐどうこうなりたいとか……そんなんじゃないから！私もう戻るね、……本当にありがとう、助けてくれて』
「迷惑かけてごめん」と頭を下げてから、逃げるように鹿楓堂へと走った、……はずだった。
腕を掴まれて、そのまま椿くんの方へ振り返る。俯きながら「待って」と私を呼び止めた彼は、見たことがないほど顔を真っ赤にしていた。それだけでもう、何を言われるのか……何となく分かって、私まで顔が熱くなる。例えるなら全身の熱が顔に集まるような、そんな感覚だった。
椿「……言い逃げしないでよ、A」
『椿くん、』
椿「僕ももう分かんないんだよね、……毎日振り回されてばっかりだし、期待させるようなこと言うし。そのくせ他の人にも笑顔でついて行っちゃうんだから、ああ僕は特別じゃないんだなって思って」
早口で捲し立てるようにそう言った椿くんは、意を決したかのように私を見つめる。丸くて大きな瞳は、月の光を吸い込んでキラキラと輝いて見えた。綺麗だなあなんて的外れなことを思ってしまう。
椿「人に振り回されるのなんて好きじゃないのに、Aだと嫌じゃないんだ。……変だよね、こんなの」
『……ううん、全然』
椿「A、……これからはもっと、僕がちゃんと守るから。だからもう一人で抱え込まないで、ちゃんと頼って」
『うん……ありがとう、』
掬い上げるように手を握られて、二人の体温がひとつになる。吐く息は真っ白で、本当に寒いはずなのに……私たちの周りだけ、温もりが存在するようだった。
椿「……僕も好き、……ううん、Aのことが大好きです」
『椿くん、』
椿「だから、……付き合って、ください」
信じられないほど顔を真っ赤にして伝えてくれるものだから、「はい」と返事をした私の声も、きっと信じられないほど震えていたと思う。
続く (更新停止中)
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