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貴方.
「……はーい、山田くん、Aちゃんオッケーです!一旦控え室どうぞ〜」
皆が待ってる楽屋とは、別の部屋。カメラチェック中だから、いつ何があってもいいようにスタンバイしておくというわけだ。
重たい裾を引きずって、やっとソファに腰をおろす。ドレスを踏まないようにサッと整えてくれた涼介は、そのまま私の隣に座った。……気まずいのは、私だけだったりする?
涼「……Aちゃん、あの、さっきは言えなかったから」
『あ……うん、なに?』
涼「すっごく綺麗だよ、……似合ってる」
『……ありがとう、』
「嬉しい」と呟いた声が、震える。
勝手に舞い上がって、不安になって。そんなことばかりだから、恋は厄介で。誰かを好きにならなきゃこんな目に遭わなくて済むのに……なんて思うけど、それでも涼介のことが好き。どうしようもない。
私の両頬に手を添えて、掬い上げるように自身と目を合わせる。……今にも泣きそうでぐちゃぐちゃな顔も、全部バレてしまった。
涼「Aちゃんが、何を不安に思ってんのかとか、俺は全部分かってあげられてないけど……何を言われても、この先ずっと一緒にいてほしいと思ってるよ」
『……それは、わたしも、』
涼「良かった……俺だけかと思った、」
『そんなわけ……こんな格好して、涼介にプレッシャーかけないかなとか、ずっと思ってて、』
涼「あ、そういうね?!……ごめんね、不安になったね」
「大丈夫だよ」と優しく抱き締められる。零れかけた涙は笑顔に変わって、今ではもう慣れたはずの涼介の甘い匂いに包まれた。
額と額をくっつけて、「……してもいい?」なんて、何がとは言わずとも分かって。小さく頷こうとした瞬間、スタッフさんに呼ばれる。
涼「……はーい、」
『ふふ、……お預けだね、』
涼「もう……結構きついんだよ?」
『分かってますよ』
涼「……もう離してって言っても、離してあげられないかも」
熱っぽい視線に溶かされそうだけど、「知ってる」とだけ伝えれば、とびっきりの笑顔が返ってくる。
……その後の撮影で、「何かさっきよりいい感じだよ!」なんて褒められたのは、今思い返すとおかしくて笑えてしまった。
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流星(プロフ) - りーさん» りーさん、コメントありがとうございます。本当にお待たせしてすみません…( ; ; )楽しみにしてくださるお気持ちに応えられるよう、私なりのペースではありますが、今後も頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします! (2023年2月4日 3時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - ちゅんさん» ちゅんさん、コメントありがとうございます。いつまでも応援してくださる方がいて、私は本当に幸せ者です( ; ; )お待たせいたしましたが、細々と続けて参りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします! (2023年2月4日 3時) (レス) @page50 id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
りー - 更新楽しみに待ってます…! (2022年8月29日 20時) (レス) id: 6a01619271 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しかったです!この作品とっても大好きです!!これからも応援してます!!! (2022年5月9日 23時) (レス) @page50 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - りーさん» りーさん、いつもありがとうございます!有り難いお言葉すぎます( ; ; )そうですね、そろそろメンバーにバレてもおかしくないですよね…(笑)入念に計画しようと思います!これからもよろしくお願いいたします! (2022年3月13日 0時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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