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涼介.
『……涼介、手貸して?』
涼「ん?いいよ、……はい」
『あったかいね……』
案外小さなAちゃんの手に、俺の手を重ねる。両手で大事そうに握られると、……流石にちょっと照れくさい。
ゆっくりと俺の手を、自身のお腹辺りに移動させる。不意に触れただけなのに、そこは驚くほど冷えていて……そうか、だから余計にお腹が痛く感じるんだろうな。さっきからしきりにお腹を温めていた気がするし。
そこへ俺の手を乗せると、強張っていた彼女の表情が、少し緩んだ。
『あったか……カイロだ、天然カイロ』
涼「そんなに?……良かった、体温高くて」
『ふふ、……助かります』
涼「んーん、俺にできることあったら何でも言って?」
『そんなのもう、そばにいてくれるだけで十分……』
空いた方の手を伸ばして、俺の頬に触れる。そこから首にかけてを優しく撫でられて、何だかこう……ムズムズした。上手く言えないけど、焦らされてるような感覚。
若干名残惜しそうに離れていった手を咄嗟に掴むと、Aちゃんは目を丸くさせた。
涼「……あー、ごめん。Aちゃん、しんどいのに」
『ん?何でも言ってみて、涼介』
涼「えっと……触れたいなって、思っちゃった」
「ダメかな」なんて、あまりの恥ずかしさに声が震えた気がする。……あーもう、かっこつかないな、ほんとに。男ならもっとこう、サラッと誘えるようにならないと。男前度合いとか、そういうの全部Aちゃんに負けてる気がするし!
恥ずかしすぎて頭の中でそんなことを考えていると、「いいよ」なんて、Aちゃんの甘い匂いが鼻を掠めた。
『……今日は、ぎゅーって抱き締めて、たくさん甘やかしてもらおうかな』
涼「え……いいの?そんなの俺へのご褒美だけど、」
『涼介へのご褒美なら、私にとってもご褒美だね?』
涼「……Aちゃん、好き……」
『私も好きだよ、……大好き』
俺に抱きついたAちゃんを、抱え込むように膝に乗せる。「重いよ」なんて不安そうだけど、これっぽっちも重くない。寧ろ軽すぎるくらい……ここのところ、それの影響で食欲が湧かなかったなんて話してたくらいだし。
今日は温かい料理をたくさん作って、食べれるだけ食べてもらおう。体の芯から温かくなるような、そんなものを。
『涼介、……もっとぎゅーってして』
涼「うん、もちろん。……離れないでね」
.
全ての女性にエールを!
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流星(プロフ) - りーさん» りーさん、コメントありがとうございます。本当にお待たせしてすみません…( ; ; )楽しみにしてくださるお気持ちに応えられるよう、私なりのペースではありますが、今後も頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします! (2023年2月4日 3時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - ちゅんさん» ちゅんさん、コメントありがとうございます。いつまでも応援してくださる方がいて、私は本当に幸せ者です( ; ; )お待たせいたしましたが、細々と続けて参りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします! (2023年2月4日 3時) (レス) @page50 id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
りー - 更新楽しみに待ってます…! (2022年8月29日 20時) (レス) id: 6a01619271 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しかったです!この作品とっても大好きです!!これからも応援してます!!! (2022年5月9日 23時) (レス) @page50 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - りーさん» りーさん、いつもありがとうございます!有り難いお言葉すぎます( ; ; )そうですね、そろそろメンバーにバレてもおかしくないですよね…(笑)入念に計画しようと思います!これからもよろしくお願いいたします! (2022年3月13日 0時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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