1 ページ1
*
すべての雑念を取り払い、
足繁く縁起のいい神社に通っては絵馬を奉納し、
ついにはご祈祷までしてもらった。
いざ、決戦の火蓋は切って落とされた。
「す、す、スーパーシートぉ！ありがとう神様！」
自らの幸運に涙したのは、少し前のこと。
今日ついに、
私はその席に座っている。
やばい、めっちゃ近い。
神席。
サーブのとき、こっちに向かってくるんでしょ？
心臓もつかな。
いや、もたないな。
そわそわと会場を見回しては、
あそこがベンチでしょ、
あのあたりがリザーブエリアで、
ときょろきょろしながら選手たちを待った。
この日のために奮発したガチなカメラ。
写真は全くの素人だったけど、
必死に勉強してやっと使いこなせるようになってきた。
今日は、試合を楽しむのはもちろん、
憧れのあの人の写真を、
データ容量パンパンになるまで撮りまくろうと意気込んでいた。
すぐそこ、ほんの１メートル程の距離。
念願のエンド席。
ウォームアップの時の近さといったらない。
思い思いのストレッチをする選手たちの中に、
大本命の姿を見つける。
嬉々として連写しまくる姿が
選手たちにどう写っているのか。
考えたらちょっと、
生きるのがつらくなるので考えないことにして、
無心でシャッターを切る。
ひゃぁああ、生石川祐希〜！！！
なんて、そんなこと口に出せないから、
心の中で叫ぶ。
初めてこの目で見る石川選手。
思っていたよりもずっとずっと大きな体、
圧倒的な存在感。
それでいて、指先の動きまで繊細で美しい。
その、背中に
ゆらりと陽炎のように闘志が見えた気がして
シャッターを切る手は止まらなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1095人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yu-ri(プロフ) - きむさん» コメントありがとうございます！励みになります！のんびり更新で申し訳ないです🙇♀️もっと楽しんでもらえるように頑張ります💪 (11月2日 2時) (
レス) id: b9365aa7af (このIDを非表示/違反報告)
きむ(プロフ) - ほんっとに今最大の楽しみです！無理せずとも頑張ってください！ (11月2日 0時) (レス) @page35 id: f5092923b5 (このIDを非表示/違反報告)
yu-ri(プロフ) - 朝霧さん» コメントありがとうございます！励みになります！ニヤニヤしていただけて嬉しい限りです🤭✨ (10月30日 16時) (レス) id: b9365aa7af (このIDを非表示/違反報告)
朝霧(プロフ) - 誤字りました🙏 (10月30日 14時) (レス) id: 13224a6886 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧(プロフ) - コメ失礼します。石川選手尊すぎます！授業中に読んでたらにやけなくなりましたとまんなくなりました（吐血） (10月30日 14時) (レス) @page32 id: 13224a6886 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yu-ri | 作成日時：2023年9月29日 22時
