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『ちょっと、なんか言ってよ?』
言えない。
何も言えない言えるわけない。
" そうだね "
そんなこと言ったら、私も海を過去の人だって認めることになる。
絶対やだ。
そんなの、私が許さない。
それに、いま口を開いてこの話に触れたら、泣いてしまいそうで話せない。
「……そ、そういえば、今日出かけることひなたちゃんには言ってあるの?」
だから、話を逸らした。
この話に持ってくのも辛いけど、過去の話を掘り返されるよりはマシだ。
『あー、言ってない』
「え?」
これは予想外の返事だった。
あんなに彼女大切アピールしてるのに、言ってない訳はないと思ってたから。
「え…それやばくない?」
『え、そう?』
なんで!?なんで分かんないの!?
誰がどう見てもやばいでしょ!!
「いやだって、ひなたちゃんにこの場面見られたらどうすんの!?」
『それはどうにでもなるでしょ』
「ならないよ!?バカなの!?…もう最悪、私帰るよ」
『え?なんでよ、もうちょい居てよ』
「やだよ、危険は事前に回避すんの」
『危険じゃないよひなたは大丈夫だって』
「そんな確証どこにもないし。ひなたちゃんが見たら、完全に浮気だと思うよ…」
最後まで言い切れたかどうかは分からない。
腕を引かれて、気付いたら海の顔が目の前にあった。
2秒くらい経って、ようやく状況を理解した。
海に…キスされてる。
一瞬、罪悪感なんてものはなかった。
あぁ、懐かしいな。この感じ。
それだけだった。
次第に " 佐野ひなた " の顔が浮かんできて、慌てて海を押した。
てかここカフェ!ショッピングモール!
「なに…してんの…」
少しも笑わず、真っ直ぐに私を捉えているその瞳は、逸らすことができない。
そのまま海の唇は、私の耳元で囁いた。
『ほんとにしちゃおっか。浮気』
真顔でこの目をしている時の海は本気だって、あいにく私は知ってしまっていた。
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どうも、ましゅまろです。
こんなにドロドロするつもりじゃなかったんです…
許してください…
それでは、これからも『勿忘草』をよろしくお願いいたします!
評価、お気に入り登録のほうもよろしくお願いいたします!
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作者名:ましゅまろ | 作成日時:2020年3月19日 1時