やっぱり運命の人~third~

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『やば、…』





途中抜け出した分の仕事もやらなければならなかった為、当然残業。





夜の10時を超えてしまった。





面会時間なんてとっくに過ぎてるけど、一瞬でもいいから会いたくて、見つからないようにAさんの病室へ向かった。





『Aさ…あ、…えと、こんばんは…？』





母「こんばんは。久しぶりね」





『あ、はい…そっすね』





「お母さん、…稜雅、さん、人見知り…だ、から…」





『あ、いや…それは…』





母「……2人に…なる？」





Aさんは、その問いかけにゆっくり頷いた。





Aさんのお母さんは、荷物をもってその場を退いた。





「……稜雅、さん…」





『…ん？』





「私…ね、夢を、見たんです…」





『…夢？』





「…稜雅、さんが……私に、キス…してくれた夢」





『……』





「夢、なのに…すごく…嬉しかっ、たんです…」





『………そっ…か』





夢じゃないよ。





それは現実だよ。





俺は…Aさんが好きだよ。





なんて、簡単に言えれば良いのに。





すき





って、たった2文字がなんで言えないんだろう。





「稜雅さん……社会人に、なったん…ですか…？」





『あぁ…うん。ちゃんと働いてる』





「そっか…。スーツ、…かっこいい、です」





喋り疲れたのか、そこでスっと眠ってしまった。





いつもの姿に戻ってしまった。





でも、いつもと違うのは管に生かされてないこと。





Aさんは、自分の力で生きられるようになったんだ。


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